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100日前 [スポーツ]

taimatsu_olympic.png東京オリンピックまで、あと100日を切った。かたや、第4波とやらが連日ニュースを賑わせ、ワクチン接種はようやく始まったばかりだ。そんな中、二階自民党幹事長がオリンピック中止に含みを持たせた物言いをし、世間をちょっとざわつかせた。

聖火リレーが進んでいて、都市部ではそれなりに沿道が混み合っている。それについて聞かれた丸川五輪相が「私も正直(人出が)多かったなと・・・」と他人事のようなコメントをしていた。聖火リレーの安全対策は地方自治体の管轄だから国の知ったことではない、とでも言いたいのか。彼女の立場ならむしろ、屋外でマスク着用している限り多少密でも感染リスクはありません、と言い切ったほうがだいぶ良かった。この温度感のまま行くと、オリンピックが始まって何かトラブルが起こったとき、JOCと組織委員会と都と国が互いに責任をなすりつけ合うグダグダな気配が目に浮かぶ。

池江璃花子選手が代表入りしたことで、機運だだ下がりだった世論の潮目が変わった、とはしゃぐ人たちがいる。ちなみに直近(10日、11日)に行われた朝日の世論調査では、今夏のオリンピック開催に期待する人は依然3割に満たない。池江さんのことは心から尊敬しているが、彼女が頑張ったからといってウイルスが退散してくれるわけではない。なにしろ選手とスタッフだけで、数万人規模の人たちが世界中からやって来る。当然PCR検査は徹底するだろうが、水際対策をすり抜けるケースは一定の確率で必ず起こる。テニスの全豪オープンの時は入国時の機内で感染者が見つかり、錦織選手など同じチャーター便に乗っていた全員が2週間の自己隔離を余儀なくされた。試合を控えた選手にとって明らかな不利益だが、選手の不満や批判を浴びてでも国民や大会参加者を守りきる、という決意が主催国としての責任感なのだと思う。

バブルと呼ばれる完全隔離体制でスポーツの大会を行う試みは世界で行われていて、ノウハウも蓄積されつつあるかと想像する。しかしオリンピックは個別競技の大会と比べ、人数が桁違いに多い。選手村の規模は、ソーシャルディスタンシングを想定して作られていないから、選手村クラスターの発生リスクはもちろんゼロではない。感染対策のルールを守らない参加者がいた場合、出場禁止や強制送還のような毅然とした対応ができるのか。ただでさえ脆弱な日本のコロナ医療体制の中で、オリンピック対応に医療スタッフを動員する余裕が本当にあるのか。最悪の場合、オリンピックを途中で中断する覚悟はあるのか。そういった想定問題集を隅々まできっちり解いた上でなら、今夏の開催は不可能ではない。しかし聖火リレーの状況一つ見ても、主催側にそれだけの準備と管理能力が本当にあるのか、今ひとつ心許ない。

二階さんは言わなくてもいいことを口走る癖があるが、今回のオリンピック発言に限って言えば的を得ている。中止は簡単な決断ではないが、未だどう転ぶかわからないコロナ禍にあって、可能性の話としてはあらゆる選択肢を当然想定しておくべきである。組織委員会やIOCは絶対やりますの一点張りで、立場上そうとしか言えないのかも知れないが、腫れ物に触るようにオリンピックを語るのはいい加減考え直したほうがいいのではないか。メディアも含めオリンピックの話題になるとすぐに情緒論や精神論にハマるきらいがあるが、コロナそのものよりその思考停止ぶりが不安で仕方がない。

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