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大手町駅 C2b [その他]

自治体が管轄する一般接種と並行して、国主導の大規模ワクチン接種が東京と大阪で始まった。東京の接種会場は、大手町の合同庁舎3号館というところである。ほんの少し前まで、この建物のすぐ隣に気象庁本庁が入っていた(今は虎ノ門に移転している)。コロナ禍が始まる前は気象庁に出張で訪れる機会が度々あったので、この近辺はよく通りがかったものだ。接種会場の最寄りである大手町駅C2b出口も、幾度となく使った。旧気象庁に行くには東西線の竹橋駅が目と鼻の先なのだが、新幹線を降りて地下鉄を一駅だけ乗り継ぐのも面倒なので、たいていは東京駅から歩いて通っていた。

天気の良い日は、地上を歩くのが気持ちいい。東京駅丸の内北口を出て、丸善が入るOAZOビルを抜け、永代通りを皇居方面に向かう。皇居のお堀まで出ると行き過ぎなので、その一つ手前の日比谷通りを右に曲がる。道沿いに直角に折れてもいいが、大手町ファーストスクエアという高層ビルを(今だから告白するが)用もないのに通り抜けると、対角線上にショートカットできる。前方に首都高の高架橋が見えるので、そのすぐ手前を左に曲がると目前に(昔は名称すら知らなかったが)合同庁舎3号館があり、その奥が旧気象庁になる。迷わずに歩いて東京駅から15分くらいだろうか。

figure_yardmap_otemachi_all.jpg天候がすぐれない日は、地下道を使っていた。東京駅の地下出口から大手町駅方面に抜け、東西線の改札の手前を曲がると永代通りの真下を進むことになる。基本的に直進するのだが、途中で階段を降りたり昇ったり、地下道が微妙に左右にクイッとずれたり、地中の構造物が邪魔しているのかまっすぐ進めない。見通しが悪いので正しい方向に向かっているか不安になるが、心を強く持ってズンズン進むとやがて突き当りにぶつかる。そこで右折すると、日比谷通りに沿って地下を北上することになる。千代田線大手町駅の改札をやり過ごして地下道が終わるところまで歩くと、微妙にわかりにくい陰にある階段を昇り、ようやくC2bから地上の光を仰ぐことができる。

大手町駅には東西線・丸ノ内線・半蔵門線・千代田線の4路線が乗り入れていて、とんでもない数の出入口があるが、東京駅から見てその最も遠い端がC2bである。迷わず東京駅とC2bを往復できるようになるまでに、何度か失敗を繰り返した。おそらく東京の(そしてたぶん全国の)地下鉄網のなかで、大手町駅C2bは到達までのハードルが高い最難関ゴールの一つではないか。上の構内図をひと目見れば明らかだが、完全に迷路である。埒が明かず適当な出口で地上に出てしまうと、どちらを向いても似たようなビルばかりで途方に暮れるだろう。スマホの地図アプリを使い慣れていればまだしも、当面は接種会場にやってくるのは基本的に高齢者だ。都心に土地勘のない人が接種にやって来て、改札を出てから最短距離でC2bにたどり着くのは至難の業と思われる。

実際迷いに迷って相当遠回りした人もいたようだが、大規模接種自体はおおむね快調な滑り出しのようである。要所々々に相当数のスタッフを配置している上、東京駅から無料のシャトルバスも手配されている。国がやることにしては手際が良いなと思っていたが、大規模接種は防衛省が仕切っているのだった。もともと自然災害など不測の事態を救済するため訓練されている自衛隊が動いているだけあって、平時の行政を回すことに特化した官僚機構とは機動性がちがう。ワクチンに限らずコロナ対策全般を自衛隊に主導してもらうほうが、役所が慣れない非常時対応にジタバタするより、いろいろなことがうまく動くのではないか。文民統制の観点からは制服組が表に出づらいのかもしれないが、災害処理のプロをもう少し頼ってもいい。東京出張が消えて久しく今や懐かしい大手町の景色をテレビで眺めながら、そんなことをつらつら考えている。

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