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違和感 [社会]

pose_taiiku_suwari_back_man.png渡辺裕之さんに上島竜兵さんと芸能人の予期せぬ訃報が続いた。テレビ番組がこの話を取り上げると、どの局も最後に「どうか一人で悩まないでください。相談先の電話番号は・・・」という決まり文句で話を閉じる。潜在的に自殺願望を抱える視聴者を思い止まらせる効果があるなら、それはそれでいいのだが、どこか喉元に刺さった小骨のような違和感が拭えない。その違和感の理由をずっと考えている。

自ら命を絶つからにはきっと重い事情があったにちがいない、と私たちは考える。経済的困窮とか人間関係とか、明白な要因がある場合も多いだろう。裏を返せば、目前の悩みが解決されれば自殺は防げる、本来なら人生は生きるに値するはずだという価値観の前提がある。一方で(きっかけは何であれ)人生そのものの疲労感や空虚感にもがいている人もいる。理由のない苦しさと人知れず戦う彼らに寄り添うことと、業務連絡のように「いのちの電話」の番号を告知することが、どうしても噛み合わない。疲れたからもう休みたいという人に、どうして疲れたのか相談してみなさい、と諭すことが救いになるだろうか。

ワイドショーで故人の思い出や逸話を振り返るのはいいのだが、悲劇をネタに感動を切り売りするメディアの習性にどことなく居心地悪く感じる人は少なくないのではないか。おそらくメディアに出ている側も少々きまりが悪いのでは、と先日ふと思った。彼らが取って付けたように電話相談を勧める様子が、見え透いた免罪符のように見えたのである。そんなモヤッと感もまた違和感の遠因のような気がする。

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