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顔パンツ [社会]

mask_summer_hinyari_woman.pngマスク着用のほうが気持ちが落ち着く若者たちについて以前取り上げた(マスク美人と伊達マスク)。でもポストコロナへの出口戦略に逆らい頑なにマスクを外したくない人が抱える心の深層は、「気持ちが落ち着く」程度の生易しいものではないのかもしれない。マスクをしないとパンツを履いていないみたいな羞恥心に悩まされるとかで、顔パンツなる言葉が聞かれるようになった。今年の流行語大賞にエントリーしてしまうのではないか。

コロナになってから顔の下半分はメイクしなくなった、とはよく聞く話だが、メイクの手間が省けて楽という実用性の問題だけでなくて、マスク込みで顔を仕上げるパッケージが過去2年の間に完成されてしまったということかもしれない。新しい知人はマスク抜きの顔をお互い知らないから、マスクを外すと今まで見せたことのないすっぴんを他人に晒すような不安に襲われるのだろうか。身近な女性に本音を聞いてみたい気もするが、ややデリケートな話題なのでその勇気が出ない。

若い世代ほど、マスク顔しか知らない相手にカミングアウトするストレスに悩まされるようである。若者たちは、クラス替えや卒業・入学はもちろん、社会人になっても交友範囲が流動的で、コロナ後に知り合った友達も多い。一方、歳をとると職場もプライベートも生活圏が固定されている。周囲はコロナ前から互いに見慣れている人ばかりだし、そもそも50のオッサンになると自分の面構えが殺風景だろうがもはやどうでも良い。多感な年ごろの子たちはそうは割り切れないに違いない。

新型コロナが季節性のウイルスとなって「収束」したあと、顔パンツを脱げないナイーブな若者たちは果たしてどうするのだろう。時間が経つほど身の回りはますますマスク下の素顔を知らない人ばかり増えるから、下手をすれば一生カミングアウトの機会を失う。歳を重ねてコンプレックスやプライドがすっかり摩耗した頃、ようやく素顔解禁の決心が着くのだろうか。

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