SSブログ

動物の眼 [動物]

ミナミジサイチョウ(南地犀鳥と書く)というアフリカ原産の鳥がペットショップから逃げ出し、連れ戻された。ペットショップということはペット需要があるということだが、こんな大きな鳥を狭い日本家屋でどうやって飼えばよいのか?それはともかく、逃走後一年半ぶりの帰還だそうである。鳥は顔の左右に目がついていて視野角が広く、どこから近づいても見られてしまうので捕まえるのが大変だと聞いた。実際、捕獲成功まで何度も失敗を繰り返したようである。

鳥は眼が左右についていると書いたが、猛禽類だけは眼光鋭く視線が正面を向いている。ワシやタカがペットショップにいるのか知らないが(鷹匠専門ショップとかあれば別だが)、フクロウを好きな人は多いのではないか。フクロウカフェなるビジネスが成立するくらいである。フクロウ人気の理由は、人間並にペタっと平たい顔に親近感を覚えるせいもあるかと思うが、眼が前を向いていることも大事な要素だ。

animal_dog_front.pngあなたは犬派?猫派?などと聞かれることがあるように、犬と猫は飼いたい動物のランキング最上位で人気を二分する。人にとってはどちらも愛くるしいペットだが、犬も猫も自然界では食物連鎖の頂点に君臨する肉食獣の仲間だ。なぜ人は捕食動物にかくもメロメロになるのか?これもやはり、目が顔の前に付いているからである。

目が同じ方向に向いていると、両眼視野(両目で同時に見える範囲)が広い。すると、立体視の要領で距離を測ることができる。捕食動物は、獲物の位置を正確に捉え追跡しないといけないから、これは大切な能力だ。ヒトを含む霊長類も、目が顔の前面に並んでいる。犬や猫がこちらを振り返りじっと見つめてくると、ピタリと視線が噛み合う。だから、心が通じ合うような気がする。

ウサギの両目は、多くの鳥と同じように顔の側面についている。そのおかげでウサギの単眼視野は両目合わせて360度近くをカバーすると言われ、どこから敵が近づいて来ても見逃さない。その代わり、両眼を同時に使える視野はとても狭い。草食動物にとって、正面のターゲットに照準を合わせるよりも、どこから現れるかわからない外敵を察知するほうが優先度が高い。ウサギにとって目の前に佇む人間は、魚眼レンズのように広い視野に紛れる風景の一部に過ぎない。そのせいで、正面から見るとウサギの視線を捉えることが難しい。目が合わないので、彼らが何を考えているのか、今ひとつつかみづらい。

ハムスターは犬猫とウサギの中間で、視野角は270度くらいだそうである。ウサギよりは両目がちょっと前よりに付いているが、犬や猫ほど視線がロックオンしない。こちらを見ているような見ていないような、ちょっとすっとぼけた佇まいに、独特の愛嬌がある。それはそれでもちろん可愛らしいのだが、犬や猫にじっと見つめられた時のトキメキにはどうしても敵わない。「この子は私を見つめ私のことを想っている」と(飼い主の勝手な思い込みであれ)確信できるからこそ、そこに強い絆が育まれるわけだから。

共通テーマ:日記・雑感