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それ、便利ですか [その他]

jidou_tearai_sekken.png公衆トイレなどの洗面台は、センサ感応式で水が出る装置がすっかり一般的になった。接触部がないのは衛生面や感染対策ではメリットかもしれないが、ときどき感度が悪いヤツに当たると厄介だ。トイレの洗面台で掌を宙にかざし指揮者のように動かす怪しい人物がいたら、水を出せなくて困っている人だ。感応スポットが蛇口に近すぎて水流に手がうまく当たらないときは、まず左手をかざして右手を洗い、次に右手をかざしながら左手を洗う羽目になる。これって本当に便利なのか?

公衆トイレのセンサと言えば、便器に水が流れるスイッチも感応式の場合がある。用を済ませて立ち上がると自動的に流れる想定なのだと思うが、感度が良すぎるのか少し姿勢を変えただけでさっさと流してしまうトイレがある。早く出て行けと追い立てられているようで落ち着かない。そういうトイレは、いざ用が済んで流したいときに却って困る。センサーの前で手をかざしたり放したりしてみるが、一定時間座っていないとアクティベイトしない仕様のか、一向に反応しない。ふつうに「大」のレバーがあれば一発で解決するのだが、生半可自動化されているせいで不便なことこの上ない。

私たちは、かつて手動だった作業を自動化してくれる様々な装置に囲まれて暮らしている。そういった装置は本来生活の利便性に奉仕するために発明されたはずだが、実際には知らないうちに人間のほうが装置の都合に合わせている。必要な時に水が出なかったり、逆に必要でない時に流れ出したり、そんなとき私たちは機械の気まぐれに従う他なす術がない。オートメーション技術が普及した結果、人間が使う道具はいつの間にか人間より偉くなったようである。

海外出張で借りたレンタカーで、サポカーを初めて運転した。走行中ハンドルが軽く逆らうようにクイクイと反応し、並走車が近づくと警告音が鳴る。安全性が増すならそれで良いが、気難しいトイレのセンサとどこか似ていると思った時、ふと恐ろしくなった。ドライバーの生殺与奪の権利を握っている誰かが、車の中に棲んでいるような気がしたのである。

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