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おわりではじまり [その他]

tatemono_jinja.png大晦日が元旦に変わる瞬間は、旧年の終わりであると同時に新年の始まりでもある。欧米圏では一年の締めくくりにカウントダウンで大はしゃぎし、元旦は疲れ果て昼まで寝ている。一方、三が日におせちやら初詣やら各種イベントが立て込んでいる日本(や旧正月を祝うアジア諸国)は、来るべき一年を祝う機会として襟を正し正月を迎える。文化の違いか宗教観の差なのか、ゆく年を華々しく見送る人がいれば、くる年を厳粛に迎える人がいる。

と書きつつ、個人的には齢とともに新年関連イベントがだんだん億劫になってきた。もともとかなりぐうたらな冬休みを送っているクチだが、巷で盛り上がる年末年始の祝祭感にいまひとつ乗れなくなって久しい。でも、密かにそう思っているのはたぶん私だけではない。TV各局が競って流す賑やかな年末特番の中で、テレ東系列局が綿々と放映する『孤独のグルメ』が異彩を放っている。年の瀬と何の関係もない緩くマニアックなドラマが毎年大晦日に再放送されるからには、そこに一定のニーズがあるはずだ。旅先で訪れた名もなき名店で独り舌鼓を打つ松重豊さんの幸せそうな姿が、年末の喧騒をしばし忘れさせてくれる。

例年は晩夏の夜中にひっそりと咲く我が家の月下美人が、昨年は一度も花をつけなかった。そうかお前もぼちぼち人生の曲がり角、先が見えてやる気が出なくなったか、と勝手に親近感を覚えていた。ところが今朝、その月下美人の鉢植えに小さな新芽が顔を出しているのを発見した。窓から差し込む元旦の陽射しを浴びて、真っ直ぐ伸びる健気な新芽が眩しかった。

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