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番外編:東大生の素顔 [社会]

制作が安上がりなわりに数字が取れるのか、テレビのクイズ番組がやたらと多い。その中の一つに、現役東大生が超人的な解答芸を披露する『東大王』がある。彼らは物知りで頭の回転が速いのはもちろん、TV的な立ち位置や物言いのツボも心得てソツがない。知的バランスの取れたハイスペックな子たちだなあ、と感心しながら見ている。

study_gariben_boy.png一方、クイズ番組ではないが『さんまの東大方程式』という不定期放送のバラエティがある。こちらに集められてくる東大生は、『東大王』と全く違う方向に尖った強者ぞろいだ。一人ひとりエキセントリックな個性が突き抜けており、彼らの知性は独特な目的に特化し研ぎ澄まされる一方、社交性とか共感力ではメーターが逆方向に振り切れている。本人たちはたぶん、そのことをまるで気にしていない(または気づいていない)。

『東大王』と『さんまの・・・』のどちらが東大生のリアルを彷彿とさせるかと言えば、私にとっては間違いなく後者である。明石家さんまにいじり倒される愛すべき彼らを見ていると、私自身が学生だった30年前を振り返り「そうそうこんなヤツいた!」と何だか懐かしい。世間的には私も相当変わり者だったと思うが、この世界にいれば自分はまだ真っ当だと思える、歪んだ安らぎがあった。もし『東大王』のようなオールマイティーの秀才ばかり周りにひしめいていたら、きっと劣等感と羞恥心に押し潰されてしまっていたにちがいない。

難関の受験は勝ち抜いたが出来ないことはとことん出来ないデコボコの個性を持った子たちにとって、標準化された人間の集団を指向する日本社会は、少々生きづらい。最高学府の内側は、そんな彼らに居場所を与えるかけがえのない聖域だ。今までずっとそうだったし、これからもそうであって欲しい。

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