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番外編:彗星到来 [科学・技術]

コロナや豪雨災害など気がかりなニュースにすっかり埋もれてしまったが、いま夕刻と明け方の空に彗星が見えているらしい(国立天文台の情報)。その名をネオワイズ彗星という。7月上旬は1等級くらいの明るさだったようだが、その頃は連日の荒天で天体観測どころではなかった。いまは3等か4等級まで光度が落ちているので、都会の空で見つけるのは難しそうだ。

かつて彗星は厄災の前兆と恐れられていた。必ずしも前近代の迷信ばかりではない。1910年にハレー彗星が地球に接近したときは、彗星の尾のなかを地球が通過する際に人類が窒息し滅亡するというデマが飛んだ。彗星の尾にシアン化合物が含まれることが当時知られていたからで、実際には極めて希薄で何ら問題ではなかったのだが、中途半端な科学の知識がかえって人心を惑わすのは今も昔も変わらない。コロナ関連でもウソかホントか判然としない情報が飛び交いがちなので、注意が必要だ。

hoshizora_nagareboshi.png彗星の落とし物が地球の大気に飛び込んでくると、流れ星になる。地球の公転軌道を横切る彗星がいくつか知られていて、かつて彗星が撒いた砂塵がヘンゼルとグレーテルのパンくずのように地球の行く手に漂っているので、地球が毎年その場所を通過するたび無数のチリが大気で燃え尽き流星群となる。夏のペルセウス座流星群や冬のふたご座流星群が有名だ。流星群の当たり年は願い事チャレンジの絶好の機会だが、それを仕掛けた彗星が禍々しい凶報の使者だとすれば、無邪気に喜んでばかりもいられない。流れ星に願掛けをするとき、願いに耳を傾けてくれるのは慈悲深い神さまと思いきや、私たちは知らないうちに悪魔に魂を売る企みに乗せられているのかも知れない。いわば、天空の振り込め詐欺である。