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悪くありませんから [社会]

sports_ball_amefuto.png日大アメフト部の大麻問題を巡り、廃部まで取りざたされている。連帯責任を取らされる学生が可哀想、という街の声を聞きながら、ふと山一證券の社長会見を思い出した。1997年秋、当時の野澤社長が山一の自主廃業を発表する会見の中で「私らが悪いんであって、社員は悪くありませんから!」と涙したアレである。

違法薬物だけならただちに廃部の話が持ち上がることもなかっただろうが、危険タックル問題で組織のあり方を問われた経緯があるだけに、相変わらずの隠蔽体質にもはや弁解の余地なしと批判されている。違法薬物に手を出したのは当該学生個人の犯罪だが、それを把握した大学側が情報をなかなか表に出さなかったのは組織が抱える問題である。社員は悪くなくとも経営陣がダメなら会社が持たないのと同じで、仮に大半の学生が悪くなくても大学運営がグダグダであれば廃部という話が出るのも不思議ではない。

学生に連帯責任を負わせるのはおかしいから廃部に反対という議論は、部員の心情を慮れば共感したくなるものの、問題の本質はそこではない。アメフト部は組織としては日大に属し、学生は大学運営に関与しない。学生は部の存続問題に何ら(連帯)責任を問われる筋合いはないが、廃部という経営判断を阻止できる立場にもない。山一の時は、社員が気の毒だから廃業はおかしいという問題提起は(少なくとも社会の側からは)なかった。それと同じで、学生が不憫だから廃部を止めろという理屈も組織論としては成立しない。

山一證券社長の「社員は悪くありませんから」発言は、会見を見た当時は何じゃこりゃと思ったが、少なくとも社長自ら上層部の非を認め一般社員をかばおうとしたわけである。日大執行部が会見で泣き出すカオスを見たいわけではないが、廃部するにせよしないにせよ、翻弄される学生に寄り添う人間味のカケラくらいは示してもいいんじゃないかと思う。

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