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どえりゃあ不正の話 [政治・経済]

東北広域を震度6の余震が襲い、コロナワクチン接種がようやく日本で始まり、東京オリパラ組織委員会は相変わらず迷走している。といった全国ニュースと全く縁のないローカル記事が、昨日今日と中日新聞の朝刊一面を賑わせている。大村愛知県知事のリコール署名問題の裏で、びっくりするような組織的不正があったのでは、というスクープだ。

figure_fighting.png愛知県外の方は何の話かピンとこないと思うので、ざっと経緯を説明したい。愛知県が主スポンサーとして3年毎に開催する「あいちトリエンナーレ」という国際芸術祭がある。2019年のあいちトリエンナーレに出展された少女像(いわゆる慰安婦像)が物議を醸し、反対派による大村知事のリコール請求運動が始まった。署名活動の先導役が高須クリニック院長で、河村名古屋市長がその支援に回ったことから、県知事と県庁所在地市長がガチで喧嘩をする異常事態となる。およそ43万人分の署名が県に提出されたが、必要数の半分にしか届かずリコール請求は不成立に終わった。

しかし問題はその後だ。署名の不審点を指摘する情報を受け県選管が精査したところ、なんと43万のうち8割強が無効な署名と判明する。違う人物の署名が同じ筆跡だったり、有権者名簿に該当者が見当たらなかったり、死亡したはずの人が名を連ねていたり、意図的な水増しが疑われる事案がごろごろ出てきた。無効8割という驚愕の数字からして、一部のアンチ大村派が出来心で捏造したというレベルをはるかに超えている。そこに飛び出したのが中日のスクープで、外注先の業者がバイトを大量動員して署名捏造を組織的にやっていたという生々しい証言が紹介された。高須院長を始め関係者は軒並み関与を否定しており、今後の捜査で真相が明らかになっていくだろう。

数十万人規模のリコール署名をでっち上げたとなれば前代未聞の珍事件であり、21世紀の先進国でこんな雑であからさまな捏造を思いつく人がいるのかと耳を疑うニュースだ。太平洋のあちら側ではありもしない選挙不正で騒ぐ人たちがいたが、こちらではバイトまで雇って大胆不敵な(そしてバレるに決まっている)組織的不正を本当に企てた誰かがいたわけだ。大統領選と県知事リコールではニュースバリューが桁違いとは言え、洋の東西を問わずいったい何をやっているのか。

アインシュタインが残したこんな箴言がある。「果てのないものが、2つだけある。宇宙と、人間の愚かさと。前者については、断言はできないが。」知事と市長の相性が悪いのは仕方ないとして、地方自治体の結束がかつてなく求められるコロナ禍のいま、好き嫌いにかかわらず首長の仕事はちゃんと協力しやり遂げて欲しい。人類の歴史は不正や争いという愚行の連続だったかも知れないが、それでも何とか仲直りし生き延びてきたのだから。

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