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リバウンド [社会]

kaden_taijukei.png最近あちこちでリバウンド、リバウンドと連呼される。体重計に乗るたびこの頃目盛りがおかしいと訝る日々を送る人にとっては、いちいちビクッとするのではないか。もっとも、少し気が緩むとすぐにリバウンドのリスクがやって来るという意味では、ダイエットもコロナも本質はあまり変わらない。

思い返せば一年前の今頃、新型コロナの感染状況が悪化の一途をたどり、4月初旬の緊急事態宣言発令に至った。当時のPCR陽性者数は全国で1,000人に満たない規模だったが、まともに検査が回っていない頃だったので、本当の感染実態がどうだったか知る由もない。春の陽気に恵まれた3連休に人が溢れ、感染拡大を助長したとも言われていた。今年は春分の日が土曜日だったので3連休にはならなかったが、折しも首都圏は緊急事態宣言が明けたばかりで、人出の急増がリバウンドを誘発するのではという懸念が随所で聞かれる。

ただ、今年は昨春と明らかに違うことがいくつかある。言うまでもなく、この一年間で感染対策の経験値がずいぶん上がった。去年の3月の時点では、無症状の感染者がウイルスを広めるリスク自体もよく分かっていなかった。症状のない一般人はマスクをするな(マスクを必要としている医療者等に優先させるべき)とWHOがまだ公に発信していた頃だ。いまや店頭で当たり前になった透明の暖簾はどこにも見当たらなかったし、行列の立ち位置を促す床のテープも貼られていなかった。

もう一つたぶん重要なことは、昨年3月はまだ日本と海外との往来が比較的自由だったことである。中国と韓国からの渡航は3月9日以降制限されたが、ヨーロッパ方面からの入国者に遅ればせながら14日間検疫を課したのは3月19日だった。国内で武漢株の終息に成功しつつあった矢先、水際対策がもたつき流入した欧州株がたちまち感染を拡大させていたことが、のちの感染研の分子疫学調査で明らかになった。今はもちろん、国外からの人流はかなり抑制されている。折しも東京オリンピックが海外観客の受け入れを断念したそうで、来る方も迎える側も楽しみにしていた人たちには気の毒だが、昨年の第一波の二の舞を避けるなら他に選択肢はない。

地域によっては、緊急事態宣言が明けてなお時短営業要請が続いている。時短要請の費用対効果が、未だによくわからない。いっそのこと営業時間の制約はやめて、代わりに全皿定価の5割増しで営業した飲食店に協力金を出す、みたいな方針に転換してはどうか?高くてもこの店の料理を味わいたい、応援したい、という人だけが来店すれば、客数が減って感染対策がしやすくなるし、一方で客単価は上がるので店も助かる。テイクアウト分は定価据え置きで良いかも知れない。値上げしたくない店には協力金は出ないが、非難もしないと決めておく。大事なのは、店側にも消費者にも選択肢が生まれることだ。あれもだめこれもだめ、とネガティブな対策で締め上げるより、ポジティブなインセンティブで引っ張るほうが、社会が適度に活気づくのではないか。

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