SSブログ

ツンデレな猫 [動物]

以前もちょっと話題に上げたが、あなたは犬派?猫派?などと聞かれることがある。犬はもともと群れを作る習性があるから社交的で秩序を重んじ、きちんと躾ければ飼い主の言うことをよく聞く。ネコ科はライオンのような例外を除くと基本的に群れない動物で、飼い主がいくら呼んでも気が向かない限り振り向きもしない。尻尾を振って駆け寄ってくる犬が可愛くて仕方のない人もいれば、猫のツンデレぶりに心がとろけてしまう人もいる。

cat_koubakozuwari_brown.png最近、PLoS ONEにちょっと面白い論文が載った。飼い主の呼びかけを徹底的にスルーする猫の本心は、実際のところどうなのか?猫に聞いてみるわけにもいかないので、ちょっとした実験をした。飼い主の呼びかけを録音し、部屋にいる猫に聞かせる。「慣らしフェーズ」で5回立て続けに聞かせた直後、「テストフェーズ」として飼い主の声を別のスピーカーから流す。飼い主が瞬間移動したかのような現実にありえないシチュエーションを演出し、猫の反応を観察するのである。それと別に、飼い主の声を別の猫の鳴き声や電子音で代用した同様の実験を行い、猫の出方を比べる。家猫と猫カフェから40-50匹の「被験者」を募り、各々が住み慣れた居住スペースで実験を実施した。

その結果が興味深い。飼い主が「テレポーテーション」すると、猫は驚く様子を見せた。一方、猫の鳴き声や電子音が瞬間移動しても、反応は薄かった。つまり、周囲の猫同士を意識する以上に、猫は飼い主の気配をちゃんと気に留めているということだ。呼びかけを完全に無視しているように見えても、ちゃんと聞いているのである。

積極的にコミュニケーションを取りたがる犬と違って、猫はマイペースで気ままな動物だ。腹が減ったり寒さに耐えかねると自動給餌装置(飼い主)や暖房装置(飼い主)に寄ってくるが、そうでなければまるで言うことを聞かない。そのくらいの距離感が心地よい人が「猫派」であって、声を掛けてもツンとする気高さに惚れて半ば自虐的な幸福感に満たされる。と思っていたのだが、もし確信犯でツンデレを演じているのだとすれば、猫が飼い主の愛を繋ぎ止めるのも実は計算のうちということか。猫派が聞いたら、愛しさがますます募って悶絶しそうな話である。

共通テーマ:日記・雑感