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ちょうどいいアレンジ [音楽]

映画音楽などをピアノ独奏用にアレンジした曲集は以前から出版されていたが、最近は難易度の選択肢が格段に広がった気がする。『易しく弾ける〇〇』といったシリーズからプロユースを謳う本格的な編曲まで、演奏者の好みや技術レベルに応じて多様なニーズに応えてくれる。

例えば久石譲のジブリ・シリーズをまとめた曲集は、楽譜店に行くとそれだけで一つのジャンルを構成する程の豊富な品揃えだ。だが、欲しい楽譜がすぐに見つかるかというと案外そうでもない。試しに上級者仕様の譜面をパラパラめくると、確かに華麗なアレンジなのだが演奏効果に凝りすぎ、わざとらしさが原曲の美しさを損なっている残念な例も少なくない。あれこれ比較検討した挙句いちばん「ちょうどいい」と思ったアレンジは、作曲者自身が弾いたアルバムを起こした曲集だった。当然と言えば当然だが、無駄な技巧に走らない程よい落としどころが音楽的にいちばん理に適っている。

最近『スターウォーズ』のピアノ編曲版を探し回っている。安易にダイジェストしたりメドレーにしたりせず、オリジナルサウンドトラックを忠実に再現した編曲が欲しいのだが、簡単には見つからない。しかもかなり複雑なオーケストレーションに彩られた曲なので、楽曲の魅力を損ねず二手で弾けるよう丁寧に編曲するのは結構難しい。ネットで買える譜面を血眼になって探したところ、ダースベーダーマーチ(Imperial March)やレイア姫のテーマは希望に叶う編曲に巡り合った。残る問題は、肝心のメインテーマである。

StarWarsMainTitle_p1a.pngスターウォーズ第一作(エピソード4)のサウンドトラック冒頭、泣く子も黙るあのメインテーマは5分半ほどの曲である。この一部を切り出し適当に要約したアレンジは掃いて捨てるほど出回っているが、5分半を省略せずそっくりピアノ譜に置き換えた楽譜に私は出会ったことがない。探すのが面倒になったので、自分で編曲することにした。幸いメインテーマのオーケストラスコアを数段に圧縮した譜面をYouTubeでストリーミングしている親切な人がいたので、それを睨みながら少しずつピアノ譜に載せる地味な作業をやっている。自分で音符を置きながらよく判ったが、キャッチーな主題がこれでもかと繰り返される裏で、合いの手を刻む裏のリズムは絶えず少しずつ変化している。テーマははっきりと耳に残る一方、何度聞いても何かしら発見がある。やっぱジョン・ウィリアムズってすげえな、と改めて思った。

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