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新幹線の車内放送 [語学]

以前は最低月一回くらいは東京出張が入っていたが、コロナ禍に入ってからの二年間、全くというほど新幹線に乗る機会を失った。昨年後半あたりから少しずつ国内外を移動する日々が戻りつつあるが、久しぶりに東海道新幹線に乗って気付いた変化がある。車内の英語アナウンスである。

school_housouiin_girl.pngコロナ前は、軽い英国アクセントの車内放送(実際に音声を入れたのはオーストラリアの人らしいが)を聞き慣れていたのだが、それがなくなった。代わりに、発音は模範的だがイントネーションが微妙に引っかかる不思議な英語音声が流れるようになった。おそらくコンピュータの合成音声なのではないか。駅に停車するごとに発車時刻を言うので、事前の録音では無数の組み合わせが必要となり現実的でないが、機械の自動読み上げなら簡単にプログラミングできる。

入力した文章をコンピュータが流暢に読み上げる技術は日進月歩と思うが、それでもどこか不自然で居心地が悪い。音声版の「不気味の谷」を越えそうでまだ越えられていないということか。英語に先立ち流れる日本語アナウンスもやはりどこかぎこちないから、これもたぶん自動音声だろう。

一方、逆の変化もある。以前はネイティブが吹き込んだ録音で済ませていたセリフを、車掌が生アナウンスで英語をしゃべるようになった。まもなく新横浜駅に停車します、左側の扉が開きます、のような放送に続き、We will soon make a brief stop at Shin-Yokohama. The doors on the left side will open.などと言うアレだ。車掌の堂々たる和風アクセントとはいえ、噛まずにすらすらと喋っているから立派である。コロナ中に運行本数が減り勤務時間に余裕ができた機会を利用して、JR東海は乗務員の英語研修でもやったんだろうか?

生身の人間が話す日本語訛りの英語と、機械的に合成されたネイティブっぽい英語、そのどちらがより「本物の」英語に近いだろうか。車内販売のコーヒーを片手に、そんなことを考えたりする。ちなみに、以前は5枚一組だった新幹線のコーヒーチケットが、いつの間にか4枚綴りになっていた。新幹線の利用頻度が減った客のニーズに合わせたのか、これもコロナ禍がもたらした変化の一つかもしれない。

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