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パリ研修の悲哀 [政治・経済]

Eiffel_tower.png自民党女性局のフランス研修が批判を浴びている。国民が物価高で喘いでいるときに政治家はお気楽に観光かと、やっかみ半分の集中砲火をくらって炎上した。まさかのエッフェル塔ポーズはとりあえず不問に付すとして、無邪気な記念写真を不用意にSNSへ上げてしまったのは明らかな政治的失敗と言える。局長の松川るい氏は、ネット界隈ではルイ16世と揶揄されているそうである。

一般論としては、政治家が海外研修に行くこと自体(内容が伴っているならば)何ら問題はない。原資となった政党交付金は元をたどれば税金だと言われているが、(使い方が真っ当ならば)海外研修の旅費に税金を使うことが悪いわけでもない。ネットに上がった料理の写真を批判する人もいるが、どのみち食事は取らなければならないのだから、美味しいものを食べて来たところで一向に構わない(高級フレンチでなくともお値頃に舌鼓を打てる店はパリにいくらでもある)。セーヌ川ディナークルーズだって、食事の場所が陸から船の上に移動したに過ぎない。松川氏が次女を同行させたと騒がれているが、私費で家族を連れていくことに弊害があるとも思わない。

要はちゃんと意義ある外遊だったかどうかという話だが、旅程表によれば研修は実質6時間だったと週刊誌で報道された。日程は3泊5日だったそうなので実質的な滞在は中2日だが、2日間で6時間とはさすがにユルい。6時間しかやることがないなら、一日短縮して2泊4日で用は足りる。または逆に、もう数日滞在しても良いからさまざまな交流事業を予定ぎっしり盛り込み、さらに見聞を広めたっていい。なぜあんな中途半端なスケジュールだったのか?

研究者の海外出張の場合、国際会議の通常フォーマットでは朝9時(またはより早く)から随時休憩を挟み夕方5時(またはより遅く)まで続く。合間や終了後に空き時間があれば、海外の研究仲間と話が尽きない。普段はできない情報交換で脳内をアップデートする、絶好の機会だ。政治家は学会に出るわけではないので話は違うが、一般人の出張よりも手持ち無沙汰感が強いのはどういうわけか。日本人同士つるんでシャンゼリゼでショッピングする暇があったら、他に現地で会う人はいないのか。

実働6時間の理由は、フランスでやるべき仕事がそれくらいしか思いつかなかったのかもしれないし、フランス側で交流に応じてくれる相手先が計6時間分しか捻出できなかったのかもしれない。(観光目的でなかったのであれば)政権与党の発想力と交渉力はせいぜいその程度だったということになる。何となく悲哀を感じる話である。

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