SSブログ

消費税(私的)改正案 [政治・経済]

10月に入り、消費税が10%になった。9月は増税前の駆け込み需要で家電からトイレットペーパーまであれこれ飛ぶように売れ、半年分のペットフードを買い込んだら物置に入らなくて途方に暮れた、といった残念な事件が続出した模様である。冷静に考えれば8%も10%も大して違わないように思うが、たかが2%されど2%、少しでもお得と聞けばなりふり構わないのが人間の性ということか。

ある日を境に消費税ががくんと上がるから、駆け込みを誘発するのである。いきなり増税する代わりに、まずは曜日ごと変動制にしてみてはどうか。月曜日は10%、火曜日は8%、水曜日はお得デーで5%、とか日替わり定食の要領である。店舗にとっては国が勝手にセールをやってくれているような嬉しい制度だ。ただしこれだと、たまたま水曜が定休の店は客が他店に流れて不公平を被るかもしれない。いっそ、支払いのたび自動的に抽選が発動して消費税率が決まる「宝くじ」制にしてはどうだろう。原則10%だが時々8%や5%が当たり、たまにジャックポットでマイナス税率(つまりキャッシュバック)が飛び出すとか、スロットマシン感覚である。コンビニでおにぎりを買おうとしたらレジの表示モードが突然切り替わってファンファーレが鳴り響き、小銭がじゃらじゃら払い戻されたりしたら楽しいではないか。大手チェーンなら大抵のレジはコンピュータ制御のシステムになっているはずだから、一定の確率で当たりを仕込むくらい簡単にプログラミングできそうである。デジタル化が進んでいない小規模小売店向けには、対応に課題が残るかもしれない。

money_slot_machine.pngギャンブルのノリで税金を徴収するなど不謹慎と怒られるだろうか。とはいえ宝くじ自体その収益を自治体の事業に活かすことを意図した集金システムだから、一種の税金のようなものである。宝くじでコンスタントに元を取れる人はあまりいないと思うが、そもそも地方自治体の収益が目的だから胴元必勝の制度設計であり、カジノと同じで統計上客に勝ち目がないのは当然だ。しかし人生は統計学のコマではない(と誰しもと思いたい)から、幸運などこかの誰かが高額当選をつかみ取った噂を聞くたび、いつか自分もその誰かになることを夢見て宝くじ売り場に並ぶのだ(私はモノグサなのでやらないが)。

当たりくじ付き消費税制の欠点は、払い出す賞金の分だけ税収が目減りすることである。ちなみに(公式サイトによると)宝くじは売上の約4割が収益金として自治体に還元されるという。回収率4割ではさすがに税制としては無理があるだろう。でも消費税なら宝くじと違って印刷費や販売コストは発生しないし、当選金をささやかなキャッシュバック程度に抑えれば高額賞金の原資も要らないので、4割どころか現行制度に比べて遜色ない税収を見込むのも夢ではない。何より、キャッシュバック目当てに購買意欲が刺激され、現行制度より税収増になる可能性だって十分ある。景気刺激策としても有効だから、経済活性化に一役買うだろう。うわさを聞きつけた外国人が面白がって来日するようになれば、観光産業も潤う。何だかワクワクしてきた。

現行の消費税制度だって軽減税率とかポイント還元とかずいぶんややこしい設計を盛り込んだわけで、どうせならもう一歩大胆な改革があっても良かった。お堅い政府だってカジノ法案とかぶち上げて通したくらいだから、日々の生活をささやかな射幸心で満たすくらいの遊び心があってもバチは当たらない。
nice!(0) 
共通テーマ:日記・雑感