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番外編:8割減? [科学・技術]

virus_hanareru_figure_stand.png人との接触を8割減らしなさい、と言われている。非常事態宣言のあと都心の人出が週末は8割減ったが平日は6割減、これではまだ足りませんね、といった分析が報道番組が盛り上がっている。でも、人出の8割減と接触の8割減って、ちょっと違うんじゃないか。人と人が接触する頻度は、人口密度の2乗に比例するはずだから。

例えば、人口100人の集落があったとしよう。話を簡単にするため、みな独り暮らしで自宅では人と接触がないとする(家族はいずれにせよ人数が限定されているので話の本筋は変わらない)。春の陽気に誘われて全員が出歩けば、散歩の道中で各々約100人と出会うことになる(正確には99人だが、これも本筋に関わる誤差ではないので気にしない)。ところが自粛要請が出て、翌日は半分の50人だけ外出したとする。すると集落人口の半数は約50人と出会うが、あとの半数は家にこもっているので誰とも顔を合わせない。すると村全体では、接触50人と0人が同数いるので1人あたり平均25人と接触する計算になる。つまり人出が二分の一になれば、人との接触機会は四分の一に減る。もし6割減の40人だとすると、集落の40人が約40人と出会う一方、在宅の60人は一切接触がないので、一人あたりの平均接触人数は(40x40+0x60)÷100=16人となる。100人が16人まで減るので、84%減だ。人出が6割減れば、人との接触は8割以上減っているのである。

もちろん、現実はそれほど単純ではない。都心に出るのをやめた人が、みな家にこもっているとは限らない。とは言え、接触8割減と人出8割減では8割の意味が本質的に違う、ということは一応心得ておいた方がいい。数字は嘘をつかないが、読み方を誤れば人は容易に数字にだまされる。

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