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番外編:7枚入 [その他]

bread_syokupan_cheese.pngスライスチーズは7枚1セットで売られていることが多い。雪印森永明治など大手ブランドの主力商品は、軒並み7枚入である。何故あえて7枚なのか?今どき7人家族は少ないと思うので、一回で使い切るには多すぎ、半端な枚数が余る。例えば4人家族の場合、3枚余る。次に食卓に出すには1枚足りないので、仕方なくもう7枚買うと計10枚になり、2×4枚食べて今度は2枚余る。3人家族でも5人家族でも、人数で割り切れないから買い足しを余儀なくされる。使い切らせないことで消費者の購買意欲を引っ張り続けるマーケティング戦略、これが7枚入の狙いではないかと邪推している。7という素数を選んだところがミソだ。

素数を巧みに利用するセミが、北米に生息している。13年に一度大量発生する13年ゼミと、17年に一度の17年ゼミだ。どんなセミも長期間地中で幼虫として過ごし、羽化すれば成虫としてひと夏に満たない短い青春を謳歌して死ぬ。13年ゼミや17年ゼミが他種と違うのは、幼虫時代がとりわけ長いことと、ほぼ全個体が同じ年に一斉羽化する集団性である。この風変わりな習性を数学的に説明する有名な学説がある。セミの天敵は3から4年の寿命を持つ小動物が多いので、12年や15~16周期だと捕食者も公倍数の年に同じ大量発生サイクルが同期し、セミを食い尽くしてしまう。だから、好運にも13年や17年という素数年の寿命を持つセミだけが、淘汰を勝ち残ったということだ。乳製品メーカーがセミの生態を参考にしたとは思わないが、雪印のスライスチーズは7枚入のほか5枚入とお徳用13枚入がラインナップされていることを考えると、確信犯的に素数を選んでいる可能性は高い。

ところが先日、近所のスーパーが自社ブランドのスライスチーズを1枚増量8枚入で売り始めた。4人家族なら、2回で食べきってしまうではないか。補充するモチベーションが薄れれば、ブランド問わずチーズ消費全体が低迷しかねない、まさかの禁じ手である。自社ブランドはコスパがウリなので勝算があるのかも知れないが、しばらく売れ行きの推移を注視したい。

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