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あるような、ないような [政治・経済]

JapanMapOlympics.jpg少し前の話だが、東京オリンピック公式サイトに掲載されている聖火リレー経路のマップ(右図)に、強い抗議を申し立てた韓国の反日勢力がいる。そこに竹島(韓国で言う独島)が載っている、というのである。この問題自体をここで深堀りするつもりはない。私が感心したのは、この地図を作った人の匙加減の妙である。

ぱっと見ただけでは、一面ただ空白の日本海にしか見えない。だが画像を目一杯拡大して、隠岐諸島の北西方向に目を凝らしてみよう。たぶん、はじめはホコリか何かかなと思う。スクリーンをよく掃除して、もういちどやってみよう。ものすごく薄くて小さいシミのような点が見えてくるはずである。それが竹島だ。もともとこの縮尺では消え入りそうなほど小さな島だが、瀬戸内海などの島々は、どんなに小面積でも本土と同じ明度で塗られている。竹島だけ敢えて目立たないよう背景に溶け込む配色にしたのは、明らかに意図的である。誰も気付かないくらいこっそり忍ばせるなら、はじめから描かないという選択肢もあったはずだが、それはそれで誤った政治的メッセージになると恐れたのか。なるべくなら見つけて欲しくない、でも描き込まないわけにもいかない。そんな苦悩の着地点が、極薄の竹島だったと推察する。

そのあるようなないような竹島をちゃんと発見したどなたかの執念もすごい。とんでもない視力の持ち主でない限り、否応なく目に入ってしまった、という可能性はない。意図を持って血眼で探さなければ、まず発見できない。平昌オリンピックの南北統一旗に竹島(独島)を描き込んだときは日本が抗議したので、その意趣返しのようでもある。しかし今回は旗のデザインではないし、明らかに人目につかないように描かれているから、敢えてケンカは売らないという無言のシグナルではないか。だから、ここは気付いてもスルーするのが、大人として正しい外交的対応だったはずである。

反日勢力とオリンピックと言えば、安倍元総理が雑誌の対談で「一部から反日的ではないかと批判されている人たちが、今回の開催に強く反対しています」と述べて物議を醸した。名指しされた共産党や朝日新聞と安倍氏との確執は当事者たちに対処を任せるとして、実際のところオリパラに反対する国民の大半は、聖火台の点火と同時にコロナの火種も灯してしまう感染リスクを懸念しているだけである。コロナウイルスにとっては、反日も愛国も関係ない。コロナ禍でオリンピックを開催する意義が一つあるとすれば、人種や性別や思想信条で人を差別しないウイルスが、理想の平等社会を象徴していることだろうか。

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