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AmazonのCM [その他]

AmazonのCMに、微かな違和感を感じる。

yuubin_takuhaiin_box.png最近よく見るCMは、共働き夫婦の話だ。二人の帰りが遅く、会話の機会もない。店が閉まってしまうので、トイレットペーパーを買うのも一苦労だ。ある日夫が買い物リストを確認していると、若き日の妻が作った「いつでもこの頃に戻れる券」という手書きのチケットを偶然見つける。ふと何かを思いついて、スマホを手にする彼。その夜、夫は職場から出てくる妻を迎え「まだ使える?」と券を差し出す。驚いた妻だが、夫の真意を悟ると笑顔で頷く。久々のデートから帰ると、自宅の玄関前にAmazonのボール箱が届いている。

心温まるストーリーではあるが、どこかしっくり来ない。わざわざサプライズで若かりし日の思い出を持ち出す中年男の乙女チックぶりが、こっ恥ずかしい。もともと夫婦仲は問題なさそうなので良かったが、これを倦怠期にやらかしたら新たな火種になりそうである。しかも、手を握り合って帰宅した二人を待っているのは、トイレットペーパー(か分からないが買い物リストの品)である。Amazonでは日用品も買えますよ、というメッセージを言うだけのために、えらく持って回った物語を用意してきたところが釣り合わない。

むかし、こんなCMもあった。若い夫婦に可愛がられていた大型犬が、夫婦に赤ん坊が生まれてからというもの、家族の輪に入れない。とても大人しい犬だが、子供に泣かれてしまうのである。赤ん坊がライオンのぬいぐるみに夢中になる様子を見ていたパパが、妙案を思い立つ。彼がAmazonで注文したのは、タテガミの被り物だ。ライオンに扮しておずおずと赤ん坊に近づく犬を、子供はやっと受け入れてくれる。

これもちょっとイイ話を狙っているのはわかるが、犬の立場を考えるとやり切れない。この家族の一員であり続けようと、安っぽいタテガミをかぶり、ライオンに成りきる犬。子供のご機嫌を取るためにネコ科のフリに甘んじるイヌの気持ちを、考えたことがあるか?CMに登場するレトリバーの切ない佇まいが名演なだけに、見るたびにモヤっとしていた。

「めっちゃお得」を連発するAmazonのCMもある。お得だから思わずポチッと買ってしまうそれは、本当に欲しかった物なのか?タテガミの被り物も、つまるところその延長にある。飽くなき消費意欲を刺激するためにイイ話を偽装する胡散臭さが、AmazonのCMに感じる違和感の源のような気がする。もちろんトイレットペーパーは必需品なので、買いに行く暇がないならAmazonで注文すればいい。でも、たまにでも週末に時間が取れるなら、近所のスーパーでまとめ買いしておくほうがたぶん「めっちゃお得」である。

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