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救済策? [社会]

school_test_seifuku_girl.png文科省が、コロナ感染や濃厚接触で大学入学共通テストの受験機会を逃した受験生に「救済策」を講じるよう各大学に要請したそうである。追試を含め共通テストを受けられなかった受験生には大学ごとの個別試験だけで対応しなさいとか、個別試験も受けられなかった場合は別途選考方法を考えてね、という内容だ。文科省の能天気ぶりが炸裂している。この期に及んで無茶ブリを突きつけられた大学は、さぞかし頭を抱えていることだろう。おそらく、対応不可能としてスルーする大学が多いのではなかろうか。

この時期にコロナにやられた受験生は、もちろん気の毒である。本人には何の罪もない。とはいえ、コロナかどうか以前の問題として受験時期に体調を崩す人は一定数いる。インフルエンザは多い年にはシーズン通算で国内1000万人以上が罹り、人数ではオミクロンの比ではない。過去にインフルエンザで寝込み共通テスト(センター試験)に(追試も含め)行けなかった受験生を、文科省肝いりで救済したことがあったか?コロナだけ特別扱いする理由はたぶん、受験生の利益に配慮云々より、無理を押して試験会場にやって来る受験生を阻止したいのが本音ではないか。入試クラスターでも起これば、主催側の対応に批判が向きかねない。文科省が本当に「救済」したいのは誰か?

そしてもちろん、公平性の問題がある。共通テストを一次選抜(足切り)として使う大学にとって、学力と無関係の理由で特定の受験生にシード権を与える正当な理由はない。公平性を担保するには、一人でも該当者がいれば全員の共通テスト結果を採用しない(足切りもしない)という極端な選択肢しかない。それでは、時間をかけ共通テスト対策に尽力した受験生の努力を愚弄するに等しい。それに大学にとっては、5科目をまんべんなくクリアする知的バランスを評価したいとか、共通テストを採用する何らかの大義がある。思いつきの「救済策」で簡単にひっくり返すような話ではそもそもない。

問題作成や試験監督など現場を担う人間は、入試の公平性・客観性は最優先事項でとにかく神経を使う。そのあたりの厳しさを、文科省はまったく理解していないようである。共通テストと言えば、記述式解答とか英語の外部試験活用とか、誰かの浅知恵で改革が迷走し頓挫した前科がある。入試制度に関わることは、文科省はしばらく黙っていてはどうか。

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