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ジョコ問題 [スポーツ]

sports_tennis_racket_ball.png全豪オープンのためオーストラリアを訪れたジョコヴィッチ選手の立場が、二転三転している。ワクチン未接種で入国しようとしたが書類不備でビザを取り消され、処分の不服を訴え裁判を起こしたところ勝訴し入国できたところまでは良かった。ところがつい昨日夜、再びオーストラリア政府の権限でビザ取り消しの宣告を食らった。情報が錯綜気味でわからないことも多いが、いったい何が起こっているのか。

コロナ対策に厳格なオーストラリア政府は、ワクチン未接種者の入国を原則認めていない。医学的理由でワクチンを打てない場合は例外措置が適用されるが、反ワクチン派とされるジョコヴィッチ選手は健康上の事情があるわけではなく、昨年12月にコロナ感染した事実をもって例外措置を求めたと伝えられている。ところがオーストラリアは入国者に対しコロナ感染歴を未接種の理由とは認めていない。これは豪政府サイトにはっきり書かれている。
The Australian Department of Health advises that previous infection with COVID-19 is not considered a medical contraindication for COVID-19 vaccination.
もしジョコヴィッチ選手が直近の感染歴以外に未接種を正当化する理由を提示しなかったのだとすれば、入国拒否はやむを得ない。

ではなぜ裁判所はジョコヴィッチ選手の不服申立てを認めたのか。その経緯はBBCの記事が詳しい。法律論の詳細は難しくて理解できていないが、要はジョコヴィッチ選手が一時収監される際に政府側の杜撰な対応があり、そこを突いたジョコヴィッチ側弁護団の主張を豪政府が覆せなかったようである。つまり裁判で争点となったのは人権問題であり、ワクチン問題ではなかった。最近の報道では入国書類に虚偽の申告をしていたことが暴露され、ジョコヴィッチ選手の旗色は悪い。ご本人はうっかりミスと弁解しているそうだが、悪意があろうとなかろうと虚偽申告の罪は変わらない。つまるところジョコヴィッチ選手の自業自得という側面は否定できない。

泣く子も黙る世界のトッププレイヤーなだけに、注目度も大きい。12月に感染が判明した後あちこちのイベントにノーマスクで参加していたことが騒ぎになった。脇の甘い人だなあとは思うが、これ自体はオーストラリアの入国拒否問題とは関係ない。また現地の人にとっては、スター選手であれば特別待遇かと批判があったようである。結果的には、オーストラリア連邦政府はジョコヴィッチ選手を特別扱いしなかった。とは言え、普通の人は入国を拒まれれば大人しく送還されるほか選択肢がないわけで、国を相手に急遽裁判を起こす反撃が可能だったこと自体、彼が「普通の人」ではなかったからである。今後もまだ法的に対抗する余地はあるそうで、彼が果たして全豪オープンで戦えるのか、まだしばらくはジョコ問題が耳目を集めそうである。

個人的にはジョコヴィッチ選手のファンでもアンチでもないので、ただシンプルに「つべこべ言わずにさっさとワクチン打っとけばよかったのに」とだけ思う。国外退去命令が確定すれば今後3年間オーストラリアの入国ビザ取得が禁止だそうで、払う代償は大きい。

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