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さんぽセル [社会]

さんぽセルという商品が話題を呼んでいる。ランドセルに装着するキャスター付きの伸縮式器具で、伸ばせば重いランドセルをキャリーケースのように引くことができ、縮めると普通のランドセルに戻る。小学生のアイディアをもとに開発・商品化されたが、これにネットでバッシングが相次いだことで賛否両論を巻き起こした。大人の子供じみた批判に子供が大人びた反論を展開した顛末が、あちこちで紹介されている。

school_textbook_omoi_girl.pngさんぽセル開発の背景には、そもそもランドセルが子供には重すぎるという問題提起がある。私自身は、小学生の頃ランドセルが重くて大変だったという記憶はあまりない。そういうものだと思って気にしなかっただけかもしれないが、以前より今の小学生の方が物理的に重いランドセルを背負わされているのは事実のようだ。小学校の教科書のページ数は、平成の中盤から後半にかけて顕著に増えている(文科省資料)。ゆとり教育が終わったことと関係しているのかと思うが、近年さらにページ数が増したという情報もあり、ランドセルは重くなる一方だ。薪を背負って勉強していた二宮金次郎も大変だったが、今の小学生もそれに匹敵する肉体的負担を強いられているのではないか。

ペーパーレス化が進む世相とうらはらに、教科書は相変わらず紙媒体のままだ。コロナ禍の2年間で、学校教育でのタブレット活用が進んだのではなかったか。ふつうに普及しているIT技術を上手に活用すれば、教科書はむしろ大幅に軽くできるはずで、ますます分厚くなる理由がわからない。初等教育現場でもデジタル化とかSDGsとか教えているはずと思うが、未来を担う世代を育てるはずの小学校で、教材そのものが時代から完全に取り残されているのは残念というほかない。

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