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謎の飛行物体だらけ [その他]

前々回のコラムで、アメリカの戦闘機に撃墜された中国の気球のことを書いた。その後、気球一式の残骸を回収した当局が「複数の偵察(情報収集)装置を駆動することが可能な太陽電池パネル」と「通信傍受と位置情報取得が可能なアンテナ」を確認したと当初発表していた。偵察装置そのものを発見したという断言を巧妙に避けているのが作為的だなと思っていたが、気球の積載物本体の引き上げに成功したのはつい数日前のようである。そのうち詳しい情報が出てくるものと期待する。

装置にはプロペラと舵が搭載され、飛行パターンは風向と一致していなかったそうだ。奇妙な話である。件の気球はあくまで気球で、飛行船ではなかった。先日も書いたが、直径60mとされるバルーンがまともに偏西風を受け吹き流されている状況で、希薄な成層圏の空気中をちゃちなプロペラで風に逆らい容易に方向転換できるだろうか(プロペラが実は自家風力発電用の風車ならまだ筋が通る)。風向きを読んで高度を制御するほうが賢明な戦略に思えるが、気球がバラストを積んでいたという話は聞かない。同様の気球は中米や南米でも目撃されたという。中国がコスタリカやコロンビアを偵察する動機があるなら話は別だが、むしろその神出鬼没ぶりの実態こそ、気球の飛行経路がまるで制御できていない証左という気がしないでもない。

alien_grey.pngその後、アラスカやカナダ北部や五大湖上空で不審な飛行物体が次々と撃墜されている。飛行高度はまちまちで、形状も円筒形だったり八角形だったり、私たちの頭上はなんと奇怪な飛翔体で満ち溢れていることか。これらの正体はまだよくわかっていないが、どうやら特段に悪意のない物体らしいとの分析のようである。撃墜にどれほどの経費が費やされているのか知る由もないが、要はあつものに凝りてなますを吹いているだけということである。

米国政府の会見で、地球外生命体の仕業という兆候はないと念を押されるのを聞いて、笑ってしまった。ジョークなのか本気なのかよくわからないところに、素朴で愛おしいアメリカ人の美質が垣間見える。いっそのこと、数々の飛翔体は実は宇宙人の先遣隊だったとフェイクニュースをでっち上げてしまってはどうか?異星人の侵略と聞けば、人々は米中対立などもはやどうでもよくなるに違いない。周辺国の脅威が増すと国全体がワンチームに染まるのが人間の性とすれば、宇宙戦争の危機と聞けばむしろ全地球が団結し世界平和に向かうだろう。

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