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マイナ保険証問題 [政治・経済]

my_number_card2.png健康保険証をマイナンバーカードに統合する大計画が進んでいるが、その過程で数々のトラブルが発生している。岸田総理の支持率が再び下落し始めた要因の一つとまで言われている。

医療機関の窓口では、カードリーダーに読み込めない、顔認証できない、登録データが出て来ない、といった技術トラブルが多いようである。とは言え、これらの問題は従来どおりの保険証を利用すれば済む話なので、対応に追われる現場の時間的損失を別にすれば実害はない。

より重大なのは他人の情報が紐づいている事例が発生していることで、場合によっては診療に悪影響がある。厚労省は、今年5月下旬までにマイナンバーが間違って登録された案件が7,300件余りと発表した。これ自体は少なくない数字ではあるが、実際に他人の情報が閲覧されたのは(約13.2億件中)10件だそうで(参考PDF)、紐付けミスが起こっても現実に個人情報漏洩に至るケースは極めて少ない。

不手際には変わりないので行政を擁護する意図は毛頭ないが、首相の支持率に直結するほど大した話か、というのが率直な実感である。マイナ保険証に限らず、新しいシステムを大々的に導入すれば初めはたいてい不具合が続発する。それを温かい目で見守れと言うつもりはないが、メディアが率先してマイナ問題をヒステリックに糾弾する昨今の様相は、それはそれで異様である。

なぜこんなに大騒ぎになっているかというと、もともとマイナカードのアンチが多いからだ。メディアにとっては、美味しい鉄板ネタなのである。世論が消極的でマイナカードの普及が進まない現状に政府が業を煮やし、来年秋には健康保険証をマイナカードに一本化すると前のめりに突っ走った。それが見事に裏目に出て、相次ぐトラブルが反マイナンバー論者に格好の攻撃素材を提供している。

2024年秋の完全マイナ化はさすがに仕切り直したほうが良さそうだが、技術的な不備はきちんと改善した上でマイナ保険証を制度化することに特に問題があるとは思えない。マイナカードが便利と思う機会はほとんどないが、手元に置いておいたところで噛みつかれるわけでもない。 13.2億分の10のリスクにビビッてマイナカードを返納する人まで出て来ているようだが、いったん頭を冷やしてみてはいかがか。