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どこからでも切れます [その他]

20年ほど前、アメリカで携帯を契約しに行った時の話。スマホ全盛の今から想像もできない無骨なデザインの携帯(ガラケーどころでない旧式の電話)を購入したのだが、初期設定のためプラスチックケースから取り出そうとした若い店員が、ハサミを片手に苦戦を始めた。どういうわけか、とにかくパッケージが開けづらい。「こいつどうしても開けてほしくないのか」と呟きながら大格闘の挙句、ようやく取り出した携帯の周りにはバラバラに崩壊したケースの残骸が無残に散らばっていた。代わりましょうかと途中で口を挟もうとしたが、彼があまりに真剣で言い出せなかった。たぶん私が交代しても結果にたいした違いはなかっただろう。

cooking_pack_tare_syouyu.png日本製品はあらゆる意味で洗練されていて、ふつうパッケージも開けやすいよう随所に工夫されている。ただ、考えすぎて裏目に出た残念な例もある。たとえば、弁当の調味料などを入れる小袋にありがちな「こちら側のどこからでも切れます」というアレだ。表面が乾燥していればいれば問題ない。しかし、ドレッシングとしてサラダに同梱されている場合などは、野菜の水分のせいでツルツルに滑る。どこからでも切れるはずが、どこからも切れない。結局、ハサミを持ち出して自分で切る。私がぶきっちょな事実は否定しないが、不器用な人でも使い勝手がいいものを作るのが発明ではないのか。

昔はこの種の小袋には一か所切れ目が入れてあったはずだ。今もそのタイプは少なくない。それで何の支障もないからである。切れ目をいれず「どこからでも切れる」ようにしてみたところで、何か便利になったか。むしろユーザにひと手間増やしてしまう迷惑を、これを開発したどなかたかは頭をよぎりもしなかったか?「どこからでも切れます」をやめろとは言わないが、せめて緊急脱出装置として切れ目をひとつ入れておいてほしい。

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