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皆勤賞はお嫌いで? [社会]

marumeta_syoujou_ribbon.png幼稚園や学校で皆勤賞を廃止する動きがある、という話を聞いた。反対論のなかには、高熱をおして登校する子がいるとコロナ感染リスクを高める、という主張がある。その懸念は理解できるが、皆勤賞廃止論争は新型コロナ以前からすでに始まっていたので、本来の論拠は別にある。例えば、2019年12月付FNNのコラムでは、休むことが悪いわけではない、むしろ体調が悪いなら無理をせず休むことが大事、として皆勤賞を止めた小学校の例を紹介している。さらに、無理して毎日学校に行くことへのこだわりが薄くなった親側の価値観の変化があると、専門家が指摘している。

休むべきときは遠慮なく休めばいい。でも、だから皆勤賞は止めようとネガティブな制度論に飛びつかなくてもいいんじゃないか。休む子の意思を尊重することと、休まずに登校し続けた子を褒めることは、何ら矛盾しない。足が早ければ運動会で喝采を浴び、勉強ができれば通信簿で称賛されるように、休まず登校し続けたらちゃんと表彰してあげればいい。

大人は皆勤を美徳だと思っている(いた)から、美徳の価値観が変わってくると今の世相に皆勤賞など似つかわしくないという話になるのかも知れない。しかしそもそも子供の行動原理は、そんな頭でっかちの美学とは無関係で、モチベーションに理由は要らない。私は幼いころ京王線の駅名を新宿から高尾山口まで全部言えたりとか、図鑑に載っていた恐竜のカタカナ名を片っ端から記憶したりとか、流行りでもなければ何の役にも立たないマイブームにハマった前科が無数にある。毎日休まず学校に行く情熱だって、根はたぶん同じではないか。体調が悪かったらやむなく登校を諦めさせるのは大人の役目で、皆勤ミッションに頓挫した子はがっかりするかもしれないが、かといってささやかな生きがいの芽を初めから摘んでしまうことがいいとも思わない。

24時間働けますかなどと言われていたバブルの時代は遠い昔、今は働き方改革とテレワークで家で過ごす時間が増えた人は多いだろう。そんな社会の風向きの変化が学校教育の現場に及んだ結果が皆勤賞の廃止ということなら、皆勤賞をなくす代わりにいっそ一番休んだ子を表彰する最長欠席賞を新設してはどうか。さまざまな事情で長期欠席していた子に、いろいろ大変だった君をずっと見守ってきたよ、とねぎらう機会があってもいい。そして、皆勤賞と最長欠席賞の表彰式を同時に催行すればいい。まるで対極の価値基準にもそれぞれ意味がある、ということを考えさせることができるなら、それこそ本来教育の目指すべき方向ではないか。

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