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番外編:その薬、効きます? [科学・技術]

トランプ大統領がコロナ予防に抗マラリア薬のヒドロキシクロロキンを服用していると吹聴し、いっとき話題になった。コロナウイルスに感染したブラジルのボルソナロ大統領も、この薬を飲んで回復したと公言してはばからない。ヒドロキシクロロキンが新型コロナに効くのか医学界で一致した結論は出ておらず、副作用を警告する声もある。しかしどういうわけか、この手の(やばめな)大統領を魅きつける何かがあるようである。名前の長さではコロナ治療薬候補中ピカイチで(Hydroxychloroquineでなんと18文字)、何となく強そうに見えるのか。

ugai_man.png吉村大阪府知事が、市販うがい液の殺菌消毒成分(ポビドンヨード)がコロナ対策に有効と発表して話題をさらった。軽症患者を対象に対照実験を行ったところ、うがい液の使用を続けたグループは唾液PCR検査で顕著な改善が見られたそうである。唾液中のウイルスが退治されたということのようだが、いったんウイルスが体内に取り込まれてしまうと、うがい薬に為す術はない。だからコロナの予防や治療に効くという証拠にはならない、と批判を食らった。手洗い消毒のような衛生習慣の延長でうがいも奨励します、くらいの話と聞いておけば良いのか。早速薬局の店頭からイソジンが消えたそうだが、次はリステリンでコロナ撲滅などと誰かが言い出さないことを祈る(長年のリステリン愛用者なので品薄が心配)。

吉村知事は誇大広告を打つつもりではなかったと思うが、「嘘のようなホントの話」などと思わせぶりな前フリからして、気合の入れようが半端ない。前のめりっぷりが、ヒドロキシクロロキン案件にちょっと似ていないか。個別の結果に惑わされず、データ背後の意味を考え続ける知性が本来の科学だ。反射神経が肝心な政治家の性には、地道な科学はあまり馴染まないのかも知れない。

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