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総裁選の顔ぶれ [政治・経済]

seiji_kokkai_gijidou.png岸田文雄さんが自民党総裁選を制し、第100代総理に就任する見込みだ。とくに驚きはないので余り書くこともないのだが、自国の首相が代わるのに完全スルーも何なので、いちおう触れておく。

下馬評ほど河野太郎さんの票が伸びなかったことが話題になった。一票差とは言え、初戦ですでに岸田さんに敗れている。それでも、党員票では河野さんが頭一つ飛び出していた。議員票で岸田さんに完全にひっくり返され、政界の意向が強く効きすぎる制度の建付けに異を唱える人は少なくない。派閥のしがらみで物事が決まっていく風通しの悪さは、確かにあるだろう。だが同時に、総裁に相応しい人は人気投票よりも政治のプロが選ぶということでもある。それはそれで理にかなっている。

河野さんご本人とその支持に回った小泉さんと石破さん(小石河連合とか言われている)は、いずれも永田町の中より外で人気の高い政治家である。この三人の共通点は、何か改革してくれそうな人という壊し屋のイメージだろうか。河野さんは物言いに忌憚がなく、役所のハンコ廃止やワクチン政策で実行力を発揮した。だが、発言力や実行力だけでは組織のトップには立てない。河野さんは、言わなくていいことを口走り反感を買う悪癖がある。失言の多い政治家は(首相経験者を含め)少なくないが、その元凶は世間と常識感覚がズレてる場合が多い。河野さんはむしろ逆で、国民人気を背に調子に乗ってしまったのか、「部会でぎゃあぎゃあ」発言のように身内を敵に回す失態を犯す。仲間から信頼を勝ち得ない人は、リーダーには向いていない。

高市早苗さんは、4人の候補の中ではいちばん言語能力の高い人のようである。頭の回転が早く、質疑応答の反射神経が冴えている。右に寄り過ぎているので個人的にはちょっと受け付けないが、(どの国でも同じで)ゴリゴリの保守は国家的自己愛に酔いしれていたい人たちから鉄板の支持がある。しかし左右のどちらに振れすぎても、思考のバランスを欠くのでどこかで行き詰まる。ポスト安倍を狙って突っ走るのも良いが、高市さんはもう少し中道近くまで歩み寄ってまろやかに熟成すれば、そのうち総裁の本命候補になるかもしれない。

野田聖子さんは真面目な政治家だが、真面目すぎるせいか政策の力点が各論に落ち込んでしまい、国家を率いる哲学というか「リーダーの匂い」があまりしない。総理より大臣クラスが一番向いておられるのではないか。泡沫候補であることを百も承知で参戦する野心は(皮肉でなく)尊敬する。

総裁選で自民党支持率が上がったそうである。野党は外野でずっと批判ばかりしていた。それより総裁選レース予想でもしてワイワイ盛り上がった方が、国民の注目を浴びたのではないか。各候補者の得票率をピタリと当てる野党議員がいたら、来るべき総選挙で恰好の売り文句に使えたかもしれないのに。

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