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勝てない野党 [政治・経済]

senkyo_bako.pngハロウィーンと同時開催の衆議院選挙が終わった。自民党は議席を減らしたが、事前の予想ほどではなかったようである。日本維新の会は大躍進したが、野党が仮に一致団結しても数の上では自民党の安定を脅かすには遠い。以前から言われ続けているが、野党はなぜ国政選挙で勝てないのか?与党に反対の声を上げるばかりで能がないとよく批判されるが、これに対して野党は法案提出や政策提案の実績を示して猛反論する。たしかに、与党が野党の政策案をつまみ食いしてパクる事例は昔からあった。野党は野党なりにがんばってはいる。いったい何がダメなのか?

かつて民主党政権時代に、事業仕分け(行政刷新会議)なるパフォーマンスをやっていた。国庫歳出のムダを省くという問題意識自体は、だれも反対しない。ただし何が無駄で何が役に立つのか、それを判断する人の視野と見識が問われる。当時話題になった例の一つが、蓮舫議員に「2位じゃだめなんですか」となじられた京コンピュータだ。黄門様の印籠のように世界一位を叫ぶだけでは事業の必要性を擁護できない、という意味では真っ当な批判である。とは言え、仮にオリンピック強化プログラムを槍玉に挙げて「銀じゃだめんなんですか?」とあげつらう人がいるだろうか?「2位じゃ・・・」というのは世界を相手に戦ったことのない人の発想であって、国策の命運を左右する立場にある人の発言としては、思想が貧しい。

野党の課題は、目の前の小さな理想を丁寧に追求するわりに、大局を捉える視座が欠落していることではないか。個別政策のアイディアがいくらあっても、その根底を貫く国家ビジョンが弱いと底の浅さが見透かされてしまう。翻って自民党にどれほどの哲学があるか定かではないが、与党は必然的に10年後や20年度の日本の姿を考える立場に置かれる。折しも英国で気候変動COP26が始まったところで、政府は半強制的に長期ビジョンを国際社会に発信せざるを得ない。

野党はそういうプレッシャーがないので、科学技術政策にせよ国防にせよ、世界からの視線に応え得る日本の将来像を構築する展望を示せていない。野党が語る政治の理想は、何となく「おままごと」感を拭えないのである。だから有権者は、彼らに日本を委ねる気持ちに今ひとつなれないんじゃなかろうか。

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