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蚊帳の内 [社会]

全国の新規感染者数が急増し久々に2000人を超えたと報道を賑わせている。たかが数千人でビビってはいけない。アメリカでは一日の陽性者が100万人の規模だそうだから、世界の最先端は3桁も上を行っている。イギリスやフランスでも日々10万人や20万人の感染者が出る勢いで、ここまで来ると感染者の数よりこれらの国の検査キャパの底力に驚く。日本でも検査を徹底すれば、欧米ほどではないにせよ思わず絶句するくらいの陽性者数には跳ね上がるのではないか。コロナは初めから無症状者や軽症者が多い特徴があって、検査の網にかからない感染者が街中を跋扈していると言われてきた。オミクロン株はとくにその傾向が強いようである。

bug_ka.png米国も英国も、もはやロックダウンの道は選ばない。蚊の大群がやってきたら、一匹ずつ叩いて回っても埒はあかない。オミクロンはブレイクスルー感染が多いから、蚊帳を張っても隙間から侵入して来る。蚊取り線香を焚いたり虫除けスプレーを噴射したり、できることをやったらあとは普通の生活を送るしかない。オミクロンの重症化リスクはデルタ含む従来株より低いのは今や確かなようだから、蚊が恐ろしい病を運んでくるわけでもない。だから多少痒いのは我慢して、ひ弱な蚊がブンブン飛び交うのは放っておく。というのがオミクロン時代に相応しいコロナ対策のようである。

日本はしばらくの間、到着便に一人でもオミクロン陽性者が出ると乗客まるごと濃厚接触者扱いしたり、オミクロンとわかると問答無用で病院にぶち込んだり、狂気に近い慎重さで臨んできた。蚊を一匹ずつつまんで潰すような地味すぎる対策は、運用がいずれ破綻する。幸い水際対策も隔離方針も見直しが進んでいるが、まだ改善の余地はあるかもしれない。イギリスやアメリカでは、新しい科学的知見に基づき自己隔離期間が7日とか5日とかどんどん短縮されている。日本はいまだに10日とか14日とか、地味に長い。

いつか世界の人たちがオミクロンに慣れて、腕をポリポリ掻きながらも普通に外を歩き回る日常を取り戻したとき、日本はどうしているだろうか。おっかなびっくりでも世界に追随するのか、一人蚊帳に閉じこもり血走った目でオミクロン蚊を一匹一匹潰しているのか。日本が蚊帳の外ならぬ蚊帳の「内」に籠もって世界から孤立しないといいなあと願う。

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