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番外編:腹話術のすすめ [社会]

3密回避キャンペーンはコロナ感染拡大防止に一定の役割を果たしたかも知れないが、連日サンミツサンミツとお経のように聞かされて半ば宗教のようになってしまった感がある(ちなみに意味は違うが仏教に三密という教えがあるそうだ)。テレビはコロナ前に収録された番組の再放送ばかりだが、街が人でごった返す映像を見ると「おいおい密だよ!」と思わず叫びそうにならないか?すこし心を病んできた証である。症状が進行すると、やがて強迫観念が高じて自粛警察のような人が出てくる。

そもそもコロナは飛沫感染のウイルスだから、黙っていれば感染しない。密集・密閉・密接が三拍子揃った満員電車を毎日やむなく使う人は「夜の街」の人口よりはるかに多いはずだが、通勤電車でクラスターが確認された例は聞いたことがない。混んでいればいるほど、誰も喋らないからである。ライブハウスでシャウトすれば確かに感染リスクはあるが、クラシックの場合客席は絶対沈黙が前提で飛沫が飛ぶわけがないから、コンサートを再開して問題ないのではないか(ただし楽章合間のゴホゴホと最後のブラボーは控えてもらう)。3密を神仏の教えの如く奉るのは過剰防衛ではないかとずっと思っていたが、専門家にも同様の意見を表明する方がおられ、我が意を得たりである。

fukuwajutsu_ningyou.pngただ、喋るなと言われてもつい話してしまうのが人間だ。マスク着用なら良いが、酷暑の到来を控えマスクの熱中症リスクが懸念されている。マスクなしで感染を防ぐにはどうすれば良いか?ふと思いついたのだが、みんなで腹話術を習得すればどうだろう。口を開かない限り、いくら喋ろうと飛沫は飛ばない。ソーシャル・ディスタンシングはもはや必要ない。劇場も映画館も席間を空けなくて良い。プロ野球もJリーグも観客を入れられる(が応援も歓声も全部腹話術が条件だ)。唯一問題があるとすれば、希少価値の薄れる本業の腹話術師が失業する怖れがあることか。

街に出れば至る所で話し声が聞こえるが、誰一人として口を動かしていない。誰が誰に喋っているのか、傍目には皆目わからない。腹話術が浸透した社会の光景は、きっと相当にシュールな「新しい生活様式」である。

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