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ガースーの本音 [政治・経済]

我らが総理ガースーが、年末年始のGo Toトラベル全国一斉停止をいきなり宣言した。見直す気はないとニコ動で言っていた舌の根も乾かうぬうちにと騒がれているが、それ自体は別に驚くに当たらない。議会解散は頭にないと言った矢先に解散したり、出馬はしないと言っておいて立候補したり、臆面なく前言を翻すのは菅さんに限らず政治家お得意の手管だ。ただそれは別にしても、今回の「英断」はとにかくツッコミどころが満載だ。

omairi_mask_kimono_family.pngあたかも年末年始の旅行プランが軒並みダメ出しされたかのようなざわつきぶりだが、そうではない。キャンペーンが一時停止されるということは、制度上は単にいつも通りの新年に戻ったというだけの話である。総理はそれを最大限の対策となぜか得意気だったが、例年と同じなのだから実態はゼロ対策だ。年末年始は静かに過ごしてほしいとのことだが、「静かに」って何か?御節は黙々と食えという意味ではないと思うが(飛沫飛散防止にはそのほうがいいのかも知れないが)、帰省や旅行はしないで下さいとは首相は絶対に明言しない。それでも観光業界が戦々恐々としているのは、お得感が急に消滅すると妙に士気が下がるのと、Go To停止を移動自粛のメッセージと受け取り、頼まれなくても進んでツアーをキャンセルする意識高い系の人が日本には大勢いるからである。旅を中止するのは各自の判断であって政府はそんなことは言ってませんよ、と(確信犯かどうかはともかく)経済損失の政策責任を回避できる仕組みになっている。

年末年始に医療現場を逼迫させたくないと総理は説明しておられたが、それなら今すぐキャンペーンを止めるほうが理に適っている。対策を先の伸ばせばそれだけ感染はじわじわ拡大するし、ウイルスの潜伏期間を考えればなおさら事前に手を打たないと意味がない。年末年始にGo Toを止めれば年末年始のコロナ患者が直ちに減るわけではないのである。そもそも帰省の場合、実家に泊まりGo Toトラベルの対象にならないケースも多いと思うので、正月休み前後はキャンペーン停止の効果はむしろ薄いのではないか。Go Toはもともと使わないからいいや、と予定通り帰省する人もいるだろう。重症者を抑えつつ経済を回したいなら、高齢者のおられる実家への帰省はガマンして下さい、一般の旅行は万全の感染対策で行って下さい、と言う方がまだ筋が通る。考えれば考えるほど、年越し限定でGo Toを止める実効性がわからない。敢えて邪推するなら、官邸側がなるべく憎まれ者にならずに対策を打つフリをできる苦肉の策がこれだったということか。キャンペーン一時中断を呼びかけておきながら感染拡大がGo Toトラベルのせいだとは今でも認めていない自己矛盾からして、それがフリに過ぎないことをご自身で認めておられるようなものだ。

ドイツではメルケル首相が怒りもあらわに、両手をぶんぶん振り回し感染抑止を訴える演説をぶち上げていた。自分は嫌われ役でいいから何よりも国を救いたいと熱弁を振るう総理が、いつか日本にも現れる日が来るだろうか?

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