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政治は希望を語れるか [政治・経済]

コロナ感染が急拡大を始めると、変異株とか人流増加とか様々な原因が語られる。一方、ロックダウンもしていないのに新規感染者数が減少していくと、専門家を含めて誰もが首を傾げる。東京の感染者数は8月中旬をピークに減少を続けているし、全国の統計も少し遅れて追随を始めた。入院者数や重症者数は時間差があるのでもう少し緊張感が続きそうだが、遠からず減り始めていくだろうと思われる。

自宅療養のまま亡くなる人のニュースが連日のように報道されると、こりゃヤバそうだと自ずと自粛ムードが広がって街から人が減り、感染が落ち着き始めるのだと言う人がいる。素人でも思いつく話だが、それくらいしかもっともらしい説明がない。繁華街の人流が目立って減っている証拠はないようだが、人々のムードはデータに残らないので、肯定も否定もできない。感染者が減る理由がわからないのだから、増える原因も本当のところは誰もわかっていないのかもしれない。

もうピークアウトしたのかと訊かれ、また増えるかも知れないから気を緩めていはいけない、と戒める声をよく耳にする。なぜピークアウトしたかわからないので今後の動向も予測できず、しかしメンツだけは保とうと専門家が安全な答弁をしているだけのようにも聞こえる。ガマンしなさいと言い続ければ、確かに感染対策としては間違っていない。だがそれが一方的に続けば、経済も人々の心もじわじわと疲弊が進んでいく。それを私たちは一年半以上繰り返してきた。

政府のコロナ分科会が、今秋以降ワクチンの普及を前提に旅行や外食など行動制限を少しずつ緩和していく枠組みを提言した。基本的には厳しいメッセージを発信し続けてきた分科会にしては、珍しい方向性である。ワクチン・パスポートという名称は敢えて避けているが、要はワクチン接種歴や陰性証明に基づく証明書制度である。スマホアプリ導入の話も出始めた。フランスではワクチン・パスポート導入が反対デモを巻き起こしたが、権力機構が押し付けてくることは内容を問わず大嫌いな人たちだから、フランス革命以来デモは日常茶飯事の国である。お国柄の違う日本では、比較的静かに受容されるのではないか。個人的には、日本でもようやく建設的な出口戦略が具体化し始めたか、と久々に前向きな気分になった。

internet_influencer_figure.pngイギリスのように感染者数が増えても医療キャパが許す範囲でふつうの日常を許容する政策は、日本的な感覚には馴染まないと敬遠する意見も多い。たしかに無条件のノーマスク・三密まで一気に戻す荒療治は、日本では難しいかも知れない。とはいえ、県境をまたぐな飲み会をやめろと永遠に言い続ける政府では、誰も信頼しない。口先だけで安心安全とぶつぶつ唱える政治に、国民はいい加減うんざりしているのである。光の見える出口と具体的で明快な未来像を、みんな待ち望んでいる。次の総理になる人を選ぶにあたり自民党が盛り上がっているが、誰でもいいのでちゃんと説得力のある希望を語れる人が日本のトップに立ってほしい。

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