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石を投げる [社会]

嫌いな芸能人ランキング、みたいなアンケートをよくやっている。嫌われて嬉しい人はいないと思うが、芸能人は知名度が勝負なので、忘れ去られるよりは叩かれてなんぼ、というマーケティング戦略もあるようだ。一般人はそうはいかない。しかし芸能人でも犯罪者でもないのに日本の誰もが知っていて、とことん嫌われている気の毒な人もいる。もしそんなランキングがあるとすれば、最近では小室圭さん母子がぶっちりぎりの一位ではないか。

kids_ishi_nageru.png私たちが小室圭さんと眞子さまご本人の口から直接聞いたことと言えば、何年か前に月とか太陽とか天体観測の話をしていた会見くらいである。小室家に関わるほぼすべての情報は、もっぱら週刊誌の(ときに怪しげな)伝聞に基づいている。そこから想像する限り件の金銭問題はありふれたゴシップで、どちらの視点から整理するか次第で善悪の印象はいくらでもひっくり返るだろう。しかし社会の常として、好都合なサンドバッグが見つかればホコリが出なくなるまで一方的に叩きまくる。何の罪人かわからないが、皆が石を投げているというだけの理由でわれもわれもと投石に参加する、そんな古代社会を思い起こす。投げるのは石から言葉に変わったが、人間の攻撃性は基本的に変わっていない。

かねてから皇室の忠実なファンで、愛する伝統に泥を塗る輩が許せない、ということならわかる。しかし、普段とくに皇室に関心や愛着があるわけでもない人が、小室問題ではなぜかこぞって一席ぶつ。彼らの怒りはどこから来るのだろう?よく引き合いに出されるのが、英国王室とメーガン妃の関係だ。彼女を嫌いな人の言い分を突き詰めると、ステータスやカネ目当てでウブな王子をたぶらかし王室入りを果たしたあざとい女、という辺りにたどり着く。小室さんと眞子さまの問題も、男女の立場が入れ替わっている以外はほぼ同じ物語で処理されているようである。ロイヤルファミリー内の亀裂とか離籍後の財源とか、取り沙汰される問題もだいたい同じだ。アイツは姑息な手段で世間を出し抜き甘い蜜を吸おうとしている、という義憤と妬みが、アンチ小室派を駆り立てる負の感情の源なのだろうかと想像する。

眞子さまと小室さんの案件は、どう転んでもどこかに禍根を残す正解なき問題だ。結婚はお二人にとっては熱望したゴールだが、皇室の歴史には「事件」として記録される。それを批判するのも暖かく見守るのも、人それぞれの自由だ。が、投石する方は小石のつもりでも、それを無数に受ける側は巨岩に押し潰されるに等しい。そこで生身の人間が耐えているという当然の事実に、石を投げる前にもう少し想像が及んでもいいんじゃないかと思うときもある。

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