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JR駅員の怒号問題 [社会]

train_green.png渋谷駅の山手線ホームで駅員が客を大声で叱りつける動画が拡散した。財布を線路に落とした乗客が非常停止ボタンを押し、列車の運行を止めたことが怒りの発端のようである。駅員の態度について同情と批判で賛否が割れているようだが、動画を拡散させた「被害者」に共感する声はあまり聞かない。駅員がこれほど激高するにはそれなりの経緯があるはずだが、拡散した当人は自分に不都合な情報は出さない。その胡散臭さが見透かされている。

この一件で思い出した出来事がある。だいぶ前の話だが、アメリカの空港で搭乗便が機体トラブルでキャンセルとなり、代替便確保のためカウンターの前に長い行列ができた。なかなか進まない列で長時間待たされた乗客がイライラし始め、「何をやってるんだ!こっちには予定があるんだ!」と叫ぶ輩が現れる。日本の航空会社だったら、スタッフが飛んできて「申し訳ございません。お一人様ずつご案内しておりますので・・・」と頭を下げるだろうが、アメリカではそういうことは起こらない。何とカウンターの職員が「こっちだってシフトが終わっているのに付き合わされているんだ。大人しく待ってなさい」と大声でやり返した。しばし乗客と地上職員の舌戦が交わされた。

日本には「お客様は神様」として扱われる慣習がまだ健在だ。これが日本の誇るおもてなし文化を支えている側面はもちろんあるのだが、店側の腰が低いのを良いことにあからさまに高飛車な態度をとる客が後を絶たない。顧客と店側の立場の落差が、カスタマーハラスメントの温床を醸成している。ところが世界に出れば、支払いに見合った商品やサービスが提供される以上、カウンターの前と後で人間の立場は対等である方がむしろ当たり前だ。客は神様ではなく、売買契約でつかのま縁があっただけの他人に過ぎない。

例の駅員について「言葉遣い」を問題視する声が多いようだ。サービスを提供する側には常に丁寧な口調を求める(裏を返せば客側は言葉を荒らげても大目に見られる)あたりが、どことなく日本らしい。もちろん、駅員が感情のコントロールを失ってしまったことはやはりマズい。乗客に失礼だったからではなくて、職務遂行にあるべき冷静な状況判断が困難になるからだ。もちろん、分単位で運行される列車の安全に目を配りつつ日々さまざまな接客ストレスに晒される駅員を、上から目線で批判する意図は毛頭ない。

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