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がんばれBS [社会]

今日は東京都の新規陽性者数が◯日ぶりに1,000人を下回りました、再び1,000人を超えました、と毎日几帳面に騒ぐメディアがいまだに多い。一歩引いてグラフを見れば、日々の変動の大部分は統計上の雑音にすぎないことが一目瞭然なのだが。データの推移から意味のある情報を伝えたいなら、せめて7日移動平均くらい目配りしてから物を言ってはいかがか。ちなみに東京都が出す陽性率は、7日移動平均の陽性者数と検査人数の比を使っているが、1月7日頃に15%まで迫って以降きれいな下降線をたどり、しばらく前から10%を切っている。

news_wideshow_serious.pngテレビの報道番組は、ショッピングモールのフードコートに似ている。地上波のゴールデンタイムは、さながらファーストフードの大手チェーンが軒を連ねる一角だ。誰でも知っているブランド、わかりきった味、たっぷりの添加物、偏りがちな栄養バランス。何も食べないよりはジャンクフードでも口に入れるほうがいいが、栄養価の低い情報を摂取し続けるのは体にあまり良くない。各局の看板番組をハシゴしてみると、申し合わせたかのように感染動向に一喜一憂する無邪気な熱量が、少々胃にもたれる。

一方、BSには個性的で優れた番組が多い。報道系では、BSフジの『プライムニュース』が見応えがある。進行役を務める反町理キャスターがいい。局を問わず数多いる現役キャスターの中で、ピカイチ頭の切れる人物ではないか。海千山千のゲストを相手に、抜群の知的反射神経でぐいぐい食い込んでいく丁々発止のやり取りが面白い。それでいて攻撃的になりすぎず、相手の出方次第ではお茶目に頭を掻いて矛を収める手加減も心得ておられる。これを連日2時間ずつこなし続けているのだからすごい。ひところ別番組に異動になって寂しい思いをしていたら、一年で復帰されたのでホッとした。反町ロスの視聴者が相当数いた、ということではないか。

BS-TBSが裏番組で『報道1930』をぶつけている(『プライムニュース』より30分早いフライングスタートだ)。こちらの松原耕二キャスターも落ち着きのある名進行役だが、どういうわけか『報道1930』は時々コメンテーターの人選を誤る傾向がある。なぜこの人(誰とは言わない)をゲストに呼んでしまったか、という残念回が半周期的に巡ってくる。とは言え、基本的には情報密度の濃い好番組だ。

地上波とBSではCMのお金のかかり具合が見るからに違うので、民放各局にとって地上波が稼ぎ頭であることは間違いない。ただ低予算のBSは視聴率にあまり左右されないせいか、逆にのびのびと好印象の番組が目立つ。報道系の他では、海外を訪れる旅番組で味のあるシリーズがいくつもあって以前よく見ていた(コロナ中の今はロケ困難と思うが)。一旅行者の視点で現地をぶらぶら歩き地元の人と交流するだけの企画が多く、要は資金がないのでディレクターとカメラマンと現地コーディネーターだけで撮りためているのだと思うが、最小限のスタッフで内容を磨く工夫の妙が冴えていた。地上波の旅番組は下手に予算があるからか、旬の芸能人を世界の観光名所に送り込むもったいぶった特番を組み、クサめのコメントで感動を演出したりするのでどうしてもシラけてしまう。もちろん『世界ふしぎ発見』のように、流行りを追わず良質な海外ロケで上手に見どころを作る老舗番組もある。ふしぎ発見もコロナ状況下の番組制作には苦労しているようである。

バーガーとフライドポテトを頬張るのも時には楽しいけれど、歳を重ねると脂っこい食事がだんだん苦手になる。フードコートの賑わいに隠れがちだが、専門店フロアの片隅には地味だけど気の利いた小料理屋がある。試しにふらりと暖簾をくぐると、思いのほか美味しくて滋養のある一品を見つけ、舌鼓を打つ。BSにはそんな番組がいくつもあって、各放送局の意外な底力が垣間見える。

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