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東京オリンピッグ [社会]

東京オリンピックが、またやらかしたようである。開会式のネタ出しの際、渡辺直美さんに豚のコスプレをさせる発案をしたとかで、演出統括の佐々木宏氏が辞任した。ご本人の謝罪文で経緯を説明したくだりが、これだ。

出演者の候補として名前が上がっていた渡辺直美さんに対する演出アイデアの中で、宇宙人と地球人の接点的な役柄で、オリンピックの使者的キャラということで、オリンピックの語尾をピッグという駄洒落にして、オリンピッグという名前のピンク色の衣装で、耳がぶたのはどうだろう、というような発案をしました。

computer_message_ryusyutsu.png侮辱的かどうか以前に、何をやりたいのかよくわからない。これが世界に向けて華々しく披露される可能性が万が一にもあったとすれば、そのスベり具合が主催国の一市民として気が遠くなるほど恥ずかしい。当然ながら周囲のスタッフから一喝され即ボツになったと言うことで、そのまま忘却されるはずであった事案と思われる。ところが発言から1年経った今になって、内輪のLINEデータが流出した。そのきな臭さも含め、オリンピックの内幕で何が起こっているのか?以前から旧エンブレムのパクリ疑惑、国立競技場のコンペ騒動、最近では森元組織委員長の失言と、何かと残念な話題に事欠かない。

当の渡辺直美さんは大人の対応でスルーしたが、コメントの中で「しかし、ひとりの人間として思うのは、それぞれの個性や考え方を尊重し、認め合える、楽しく豊かな世界になれる事を心より願っております」と付け加えている。容姿のせいで心無い言葉に耐えてきた、数知れぬ人たちへの思いやりなのだと思う。自身は仕事として体型をイジられるのは厭わないが、それを見て傷つく人がいるなら本意ではない。そういう社会は変わってほしい、という彼女の願いがじわりとにじみ出ている。

辞任した佐々木氏は、トミー・リー・ジョーンズを宇宙人役に起用したBOSSのCMを仕掛けた人だ。人間の滑稽さと愛おしさを他者目線で描くのが、このCMの一貫したコンセプトと思われる。宇宙人を出してきたアイディアがうまい。宇宙人をコケにしても、不快な思いをする当事者はどこにもいないからだ(たぶん)。同じことを、日本社会に戸惑う外国人のような構図でもしやったら、ちょっと角が立つかも知れない。そのあたり佐々木氏のセンスは決して悪くなかったはずだが、うっかり悪ノリに走った瞬間を世間に晒されてしまったようである。

昨年末、開会式の演出統括を佐々木氏が野村萬斎氏から引き継いだ。あの人は優れたクリエイターだけどちょっと危ういよ、と誰も止めなかったのか?東京オリンピックの企画チームは日本が誇る多方面の才能が結集しているはずだが、リスク・マネージメントの勘に冴えた人材にだけは恵まれなかったようである。

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