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Embarrassmentは「恥」か? [語学]

バイデン次期大統領が、敗北を認めず抵抗するトランプ氏の言動を「恥ずべきこと/恥ずかしいこと」と述べたと複数の日本メディアが報じている。しかし、実際にバイデン氏が会見で言ったのは「I just think it's an embarrassment.」である。「困った話だ」とか「厄介なことだね」とでも訳すほうが自然ではないだろうか。I'm embarrassed.を「恥ずかしい」と訳すことがあるが、これは例えば男性が間違えて女性用トイレに入りそうになった、みたいなシチュエーションの「恥ずかしい」である(トイレの話は昔アメリカ人が私にembarrassedの意味を解説してくれたとき実際使った喩え)。「恥ずべき」と言うならたぶんshamefulであって、embarrassmentにそこまで強い糾弾のニュアンスはない。

ついでにもう一つ。ポンペオ国務長官がバイデン勝利を認めない発言をした、という報道があった。トランプ政権の中枢にいる人なので不思議ではないが、その会見の様子が少し面白い。政権移行が滞るのは安全保障上どうなのか?と記者に聞かれて、「第二期トランプ政権への移行は順調であろう」と確かに言った。ただしそれに続いて長々と国務長官が答えた本題は、行政機構は機能しており「1月20日正午すぎに執務室にいるであろう大統領」にとって何ら問題はない、票の集計は公正に行われなければならない、といった一般論だ。トランプ発言を擁護しているようでもあるし、原則論に徹してあからさまな援護射撃は巧みに避けているようでもある。

冒頭の「第二期トランプ」発言は、実はジョークだったのではという観測もある。確かにこれを言った直後、ポンペオ氏は会場の反応を確かめるように一瞬の間を取り、ニヤリと笑っている。ポンペオ氏はかつて金正恩と会談した際、「あなたがCIA長官時代に私を暗殺しようとしたというのは本当か」と聞かれ「ええ、今でもそのつもりですよ」と答えたと噂されている。もともとヤバめの冗談がお好きな人のようである。



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