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眞子さま文書 [社会]

ロイヤル・ファミリーがらみのゴシップは一部メディアの鉄板ネタだが、ときに取材が過熱し暴走する。ダイアナ妃の悲劇はその最たる例だ。マリー・アントワネットは巷に流布する風刺画でボロクソに描かれていたと言うから、人々のやっていることは今も昔もあまり変わらない。日本の皇室報道はそこまで過激ではないが、フランス革命やダイアナ妃の時代と違うのは、SNSの存在である。昔なら井戸端会議や飲み会の中で閉じるその場限りの与太話が、今はネットで瞬時に拡散し増幅する。一つひとつは他愛もない憎まれ口でも、数が集まるととてつもない負のエネルギーとなって当事者のメンタルを傷つける。学校のいじめにせよ芸能人へのバッシングにせよ、繊細な人はひとたまりもなく心が折れてしまう。

jewelry_tiara.png眞子さまの「お気持ち」文書で、結婚延期問題が再び話題になっている。眞子さまの勝利宣言と報じる記事もあれば、秋篠宮両殿下が首を縦に振る目処は立っていない証という見方もある。婚約者の実家で金銭トラブルが発覚し結婚に待ったがかかる、という展開はどんな世界でもあり得る話だ。ただ皇族であるがために、一般人と違い週刊誌にすっぱ抜かれネットで叩かれ、虚実入り交じった噂が飛び交う逆風に耐えないといけない。皇室の特殊性ゆえ婚姻のハードルがひときわ高いのは当然だが、小室家の金銭トラブルに関し眞子さまに非があるわけではない。お気持ち文書で眞子さまが結婚への道筋を強引に既成事実化しようとしているという論調をあちこちで見かけるが、真偽はどうであれわざわざ棘のある言葉を彼女に投げつけなくてもいいんじゃないか。

よその家庭の問題なので、私が眞子さまの肩を持つ理由はない。ただ一つ気になるのは、「結婚は、私たちにとって自分たちの心を大切に守りながら生きていくために必要な選択です」という下りだ。後半の「生きていくために必要な選択」を切り取って、強い決意表明と受け止めるメディアが多いが、私にはむしろ「自分たちの心を大切に守りながら」が引っかかる。裏を返せば、今の状況では心を守ることもままならない、という心痛をギリギリの表現で訴えておられるのではないか。つらいときほど側にいてほしいはずの人は海の向こうだから会うことも叶わず、依然としてコロナ禍が荒れる世界で先の展望も見えない。皇室事情に強い関心があるわけではないが、一国民としてはそっと見守りたい気分だ。

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