SSブログ

ファミレス(と人類)の未来 [社会]

robot_house.png近所のファミレスに行ったところ、配膳ロボットが店内を徘徊していた。タブレット端末で注文すると、料理を客のテーブルまで自動的に運んでくれる優れ者である。デフォルト状態ではモニターに猫顔のイラストが表示され、子供が喜ぶ仕様になっている(私も喜んだが)。通路の先を人が塞いでいると「道を開けて下さい」と喋りだすが、障害物が人でない場合(椅子が通路にはみ出しているケースなど)は「通れません」と泣き言を繰り返したまま立ち往生する。すると店員さんが救出に飛んでくるので、ロボットがフロア店員の代わりになっているのか逆に手間が増えているのか、あまり定かでない。ちなみに私は汁物を頼んだせいか、人間の店員がふつうに運んできた。

配膳ロボットは、北京冬季オリンピックの選手村でも話題になった。感染対策で導入が加速した面はあるだろうが、コロナ前からファミレスの店員数は減少の一途にあったから、もともと人件費節減のために開発されたシステムと思われる。近未来のファミレスは、本当に店舗から店員が消えるかもしれない。入店したら空いている席に勝手に座り、端末で注文したら配膳ロボットが食事を運んできて、食べ終わったらセルフレジで支払いをして帰る。厨房では調理ロボットが腕を振るい、無銭飲食を試みる不届き者を警備ドローンが猛追する。トラブルが発生し客が「店長を出せ!」と凄めば、店長ロボットがおずおずと現れ土下座する。

チェコの作家カレル・チャペックが戯曲「R.U.R.」を世に問うた1920年から、ちょうど100年あまりが経った。ロボットという言葉が初めて使われたことで知られるSFの古典である。チャペックの描いた世界はロボットが人間を駆逐するディストピアだが、2022年のロボットはファミレスの通路でオロオロしているありさまだから、人類征服にはまだ遠い。それより先にクレムリンに棲む不穏な男のせいで人類が自滅してしまわないかのほうが心配だ。

共通テーマ:日記・雑感